前回は、フォードの発言で会議の方向性が一変した話を書きましたが、実は私もこの「方向性の一変」は身をもって体験したことがありました。しかも、デミルの立場で(>_<)
これは昔、拙日記でも触れた話なのですが、間抜けな話なので、自戒も込めて(そんなに大袈裟なものではないですが)もう一度書くことにします。
私は、学生時代には、江戸川区の小岩に下宿してました。
その下宿には下宿人専用の出入口があり、そこを入るとすぐ右に階段があり、それを上って2階に着くと、廊下があって、左側に下宿人の部屋が3つ、右側に共同の便所が1つあるという構造になってました。自室は3つある下宿人の部屋の2つ目(中央)にありました。
何しろ、ガラケーもスマホもなかった時代のことですから、固定電話も持ってなかった私は、いつでも公衆電話で使えるように自室のカラーボックスの上に小銭を用意してました。
今から思えば、何とも平和な牧歌的な時代だったものですが、当時はまだ治安に対する暗黙の信頼みたいなものがあったので、他の下宿人はもちろん、そんな目立つ所に小銭を置いていた私も、部屋に鍵をかけるということはしていませんでした。
でも、(当たり前と言えば当たり前ですが)これがいけませんでした。
あるとき、便所で用を足して部屋に戻ってみると、便所に入る前までは確かにあった小銭がなくなっていたのです
せいぜい数千円のこととはいえ、当時の私にとっては一大事です。早速、大家さんに相談したり、他の下宿人に訊ねたり、と大騒ぎしました(後日、犯人は向かいのアパートの子どもらしいということが判明しました。どうやら、家庭で虐待を受けていたという少々可哀そうな環境にあったらしく、私としても自分の側に隙があった話でもあるので、返金請求とかはせず、そのままにしておきました)。
その下宿は、当時でも珍しくなりかけていた賄い付きの下宿だったので、朝食時、夕食時には、下宿人が集まって、談笑しながら食事するのが常だったのですが、その日は昼間そんなことがあったものだから、夕食時にはほとんどの下宿人(4人)が、私が泥棒の被害に遭ったことを知ってました。
私は、これは他の下宿人にとっても、「明日はわが身」という問題なのだから、きっと彼らも私を気の毒に思ってくれるに違いないと考えてました。内心、心からの同情を求めていたわけです。
あまかったです。
おおよそのことは知っていた彼らは、はじめのうちは、うん、うん、なるほど、と事件の詳細を聞いていて、これからは部屋に鍵をかけないとだめだなぁという話になりかかったのですが、そのうち、一人が、「でも、う○こをしている間に盗まれるなんて、きっつぁんさんらしくていいですね!」などと、とんでもないことを言い出したのです。
しかも、これが思いのほかうけてしまい、話の方向性は完全に一変してしまいました。
やがて、彼らはこんな小話まで拵えました(拵えやがったというべきか)。
小話その1
下宿人:「おや、きっつぁんさん、部屋に鍵を掛けてどちらまで?」
私 :「……いや、ちょっと便所まで…。」
小話その2
下宿人:「おや、きっつぁんさん、財布を持ってどこへお出かけですか?」
私 :「……いや、ちょっと便所まで…。」
まったくもう(*^_^*)。
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