一つは明明徳(めいめいとく)
――明徳を明らかにする。
人は誰でもお日さまとお月さまを
あわせたような徳を持っている。
この徳を発揮するのが明明徳である。
徳を発揮するとはどういうことか。
自分を創ることである。
自分の花を咲かせること、と言ってもよい。
二つは親民(しんみん)
――民に親しむ。
親しむとは、相手と一体になることである。
自分の花を咲かせるだけではない。
相手と一体になることで相手の中に
眠っている徳を目覚めさせ、
相手の花を咲かせるようにお手伝いをすることである。
三つは止至善(ししぜん)
――至善に止とどまる。
至善とは最高の善、即すなわち理想のこと。
止まるはストップではない。
文字学的に言うと、「止」は足跡の形で、
これを二つ重ねると「歩」になる。
つまり止至善とは「理想に向かって歩み続ける」ことである。
人の上に立つ者として大事なこの三綱領は、
そのまま人が幸福に生きる道を説いている、と言える。
『大学』は、人が幸福に生きるためには何が大事か、
の道標を示した名著なのである。
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