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2023年10月06日21:28

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税制にみるこの国の文化、芸術に対する理解の浅さ、なさ

 今週は、今年のノーベル賞受賞者の発表が相次ぎ、残るは経済学賞の受賞者の発表を待つばかりになりました。
 と思ったら、ノーベル経済学賞は、厳密にはノーベル賞ではないのだそうです→https://www3.nhk.or.jp/news/special/nobelprize/2019/economics/article_02_01.html
 ここに引用した記事からはノーベル賞ではないといっても、大した違いはないように見えますが、実は大きな違いがあります。経済学賞以外の賞の賞金は非課税なのに、経済学賞の賞金は課税されるのです。
 これは非課税の根拠が所得税法第9条第1項第13号ホにおいて「ノーベル基金からノーベル賞として交付される金品」とされているからです。経済学賞以外の賞の賞金はノーベル基金から支払われますが、経済学賞の賞金はスウェーデン国立銀行から支払われるため、所得税法第9条第1項第13号ホに該当せず、したがって課税されるというなんともケチくさい話になるのです。賞金がどこから支払われるかによって課税・非課税を区別する必要がどこにあるのか理解に苦しみます。
 でもまぁ、このように一部例外はあるにせよ、非課税とされるだけノーベル賞はマシと言えるかもしれません。
 以前にも触れたように、児童文学のノーベル賞と云われる国際アンデルセン賞、建築界のノーベル賞と云われるプリツカー賞、教育界のノーベル賞と云われるグローバル・ティーチャー賞などは、非課税の対象外とされており、したがって賞金には課税されます。
 しかも、数学については、数学のノーベル賞と云われる賞が、フィールド賞とアーベル賞の2つがあるのに、前者は非課税とされ、後者は非課税の対象外とされており、いったいどういう基準で課税・非課税を決めているのか、これも理解に苦しみます。
 こうした傾向は、日本でもお馴染みの芸術上の賞でも見られ、例えば、ローザンヌ国際バレエコンクールや、ショパン国際ピアノコンクールなども、非課税の対象外とされており、したがって賞金には課税されます。
 このように、非課税指定の欠缺が、文化、芸術面での賞についてみられることがあまりにも多いことは、この国の、文化、芸術に対する理解の浅さ、なさを示すものであると言えるでしょう。
 このことが単にお上はバカだと言っておれば済む話であれば、私もこんなにくどくどと書こうとまではしなかったかもしれないのですが、実は本来得られたはずの大きな利益を失うことになっているのではないかと私には思えてなりません。
 日本人あるいは日本の団体が賞金を得たということは、少なくとも、その分野では日本が世界をリードし得る地位にあるということを意味すると言えるでしょう。そして、受賞者がその賞金を支援団体、研究機関等に寄付すれば(実際、寄付する受賞者は多い)、その地位をますます強固なものとすることに繋がるはずです。それによって得られる利益がどれほど大きいことか。
 そのためのわずかな投資になり得るカネ(賞金)を課税対象にして削るというのは(その結果わずかばかり税収が増えるとしても)何とも近視眼的というか、課税の公平という建前を偏重するあまり、本来なら得られたはずの大きな利益を失ってしまうように感じられるのです。
 私たちは自分たちの生活を豊かにするために納税しているはずです。本来得られるはずの大きな利益を失うために納税しているわけではありません。
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