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2023年09月26日18:11

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【社説】ロンドン「排出ゼロ」政策の後退


根強いガソリン車人気、政治家に修正迫る
The Wall Street Journal

2023.8.31 14:30 会員限定
【社説】ロンドン「排出ゼロ」政策の後退

 内燃機関は歴史上最も重要な発明の一つであり、あちこち移動する以上に役に立つことが分かっている。その人気のせいで政治家が温室効果ガス排出実質ゼロという気候変動対策の限界に直面せざるを得なくなる中、内燃機関はうそ発見器にもなりつつある。

 ロンドンのサディク・カーン市長は内燃機関車の壁にぶつかった指導者の最も新しい例だ。同氏は29日、そうした車の使用を抑制するという野心的な政策を縮小すると認めた。それまでは、二酸化炭素(CO2)を排出する車のドライバーを罰するために、2025年までに新たな自動車利用料金制度を導入する案を打ち出していた。今週は、賛否両論のある「超低排出ゾーン(ULEZ)」が市内全域に拡大された。市の推計によると、2030年までに温室ガス排出実質ゼロというカーン氏の荒唐無稽な目標を達成するには、ロンドン市民が自動車の年間走行距離を2018年比で27%減らす必要がある。


 カーン氏は昨年、「走行距離に応じて課金され、車両の排ガス量や地域の渋滞の程度、公共交通機関へのアクセス状況に応じて異なる料金」をドライバーに課すシステムの開発を明言し、「低所得者や障害者向けの例外措置や割引措置」が設けられるとした。笑わないでほしいが、同氏はこれら全てが「シンプルかつ公平」なものになると述べていた。

 カーン氏は29日、この計画が今やごみ箱行きになったと述べた。同計画よりずっと緩いULEZ政策によって生じた政治的圧力に屈した。ULEZは比較的古い車両でロンドン都市部やその近隣の郊外を走るドライバーに1日当たり12.50ポンド(約2300円)を課す仕組みだ。この「比較的古い」車両には、最も厳しい排ガス基準を満たしていない車で、2015年製も含まれる。

 ULEZはあまりにも評判が悪く、カーン氏の所属する労働党は7月に行われた下院議員補欠選挙でその代償を支払うことになった。ULEZをきっかけに、労働党と保守党は排出実質ゼロ政策から競って撤退し始めた。カーン氏はULEZ政策を撤回するつもりはないが、運転者の負担はこれ以上拡大しないと約束することで有権者の不満を和らげたい考えだ。

 実はロンドンのULEZは、英国の有権者が温室効果ガス排出削減策に直接支払いを求められた初期の事例の一つだ。過去の世論調査では排出ゼロを支持する有権者が多かった。排出削減のコストは通常、分かりにくい電気料金の中に隠れているか、事業投資が実施されなかったり雇用が創出されなかったりすることで見えなくなっている。

 支払いを求められた有権者は考え直している。カーン氏の後退により、得点は内燃機関という現実の1に対し、排出実質ゼロの幻想は0となった。

(The Wall Street Journal/The Editorial Board)
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