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2023年07月22日14:38

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『犬は「びよ」と鳴いていた』

山口仲美・著 光文社



『言語の本質』が売れ、オノマトペに
注目が集まっていますが、オノマトペ
といえば有名なのは、埼玉大学名誉教
授、山口仲美(やまぐち・なかみ)さ
んの名著、『犬は「びよ」と鳴いてい
た』。



例えば、「わんわん」で定着している
犬の鳴き声は、じつは江戸時代からの
もので、平安時代は「ひよ」(当時は
濁音表記がないので本当は「びよ」)。
これが江戸時代中頃まで使われていた
というから驚きですよね。

馬の鳴き声も、平安時代は「イン」で、
江戸時代から「ヒン」になったなど、
衝撃の内容が書かれています。

本を作る立場からすれば、こういうの
を参考にして、新しいオノマトペを開
発したい衝動に駆られますね。

著者によると、平安時代の文献では、
『今昔物語集』が擬音語・擬態語の宝
庫だそうなので、これはチェックして
みたいところです。

本書43ページから50ページには、この
『今昔物語集』で使われている擬音語・
擬態語が一覧で載っていますが、これ
を見ると、昔の人とわれわれでは、随
分と捉え方が違っていたんだなと思い
ます。

われわれの思考や感覚は、じつは言葉
の影響を強く受けています。

われわれの生きる時代がどんな音で彩
られているのか、その影響はどうなの
か、客観視する上でも、面白い読み物
だと思います。



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英語では擬音語・擬態語が三五〇種類
しかないのに、日本語ではなんと一二
〇〇種類に及ぶ

「東方に朝日がつるつると出たれば」
(『毛詩抄』)

最初にひっかかったのは、平安時代の
『大鏡』に出てくる犬の声です。「ひ
よ」って書いてある

「ココ」は、猿が食べ物を食べている
時の満足そうな声を写したもの

「ニココニ」という擬態語があります。
現代語で言えば「ニヤニヤ」「ニタニ
タ」って感じの語

擬音語・擬態語を掛詞にして二重の意
味をもたせる。おしゃれです

「あざあざ」というのは、色彩が鮮明
で目のさめるような派手やかさを意味
する擬態語。『源氏物語』初出の語で
すが、紫の上という特定の人物の形容
だけにこの語を用いています

『源氏物語』には、黒髪の描写として
「つやつや」と「はらはら」と「ゆら
ゆら」の三種の擬態語が出てきます

「すくすく」「そよそよ」「つやつや」
[ABAB]型が日本代表

『今昔物語集』に登場する擬音語・擬態語 ※一部紹介
イガイガーー赤子の泣き声
エブエブーー嘔吐の音
ガサーー人がおびえてはね起きる音
ザブザブーー食物を器から口にかきこむ音
ツブリーー水の中に飛び込む音
ヒターー相手の体に密着するさま

電子音に限らず、現在はさまざまな機
械音であふれかえっています

私たち人間のたてる声も、三〇年前よ
りも笑い声が目立っています

「わんわん」は江戸時代初めから

昔は濁音表記がなかった

猫は「ねうねう」と鳴いていた

「猫」には遊女の意味も

日本人は、鼠の声も雀の声も、室町時
代までは「しうしう」と聞き、江戸時
代以降は「ちいちい」「ちうちう」と
また同じ言葉で聞いてきた

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