ロバート・F・ヤング
今回はぐっと甘くてハートウォーミングなものを。表題作はこう。宇宙飛行士ジョナサンの乗った宇宙船が星間移動中の宇宙クジラに飲み込まれた。その胎内には先に飲み込まれた植民船の乗客を祖先とする人類社会が築かれていた。ジョナサンは宇宙クジラ[アンドロメダ]と交流しながら社会に溶け込んだ。やがて[アンドロメダ]は自身の滅びゆく運命を語り、そしてジョナサンは...というお話。夏休みの読書感想文のネタに姪に読ませたい。
どの短編もSFの道具を使ったファンタジー寄りのものでSF再読中のわたしには箸休め。テーマは狭いが佳作ぞろい、川原由美子の描くカバー絵も適度に現代的でなくてよい。そのカバー裏には「アメリカSF界でブラッドベリ、スタージョンと並ぶ地位を占める」とある。それはちょっと言い過ぎではないのか。スタージョンていったら[人間以上]だぞ。
本書は伊藤典夫編による短編集で初版は77年。手元の四刷は92年とあるし、なんだか新しい表紙カバー絵も見つかったので、細く長く読み継がれているのだろうか。結構なことだ。
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