mixiユーザー(id:32437106)
2022年12月06日19:53
561 view
Wカップ企画（6）日本 対 クロアチア戦レポート クロアチアの地質 プリトヴィツェ国立公園 ジブリ映画 92年から95年まで渡った紛争
 |
 |
 |
日本時間12月6日（月）24時から 決勝トーナメント1回戦 第5試合 日本(E組1位) 対 クロアチア(F組2位)戦が、行われる。
両者は、Ｗカップで、通産3度目の対戦となった。過去の対戦成績は1勝1分でクロアチアに分がある
過去Ｗカップの最高成績は、ベスト16が3回の日本に対してクロアチアは、前回2018年大会で、フランスに次ぐ、準優勝の成績を残した。経験値ではクロアチアが上回りながら、ドイツとスペインを倒した日本の方が、勢いがあるとみられている。
前回Ｗカップ企画5 セルビア 対 スイス戦レポート https:/
前々回Wカップ企画4 日本 対 スペイン戦 レポート
https:/
目次
第1章 クロアチアのスター選手ルカ・モドリッチについて
第2章 クロアチアの悲惨な紛争
�� プリトヴィツェ国立公園
�� 1992年から始まった紛争
�� 終戦後の歩み 全土開放
第3章 日本 対 クロアチア戦レポート
第1章 クロアチアのスター選手ルカ・モドリッチについて
独立後、ＷカップやEUROを含め、コンスタントに大舞台へ出場するほど実績を上げてきたチームの主軸を担うのは、ルカ・モドリッチである。1985年9月9日産まれの37歳モドリッチは、中盤のゲームメーカーとして存在感を放つ。前回2018年のロシアＷカップでは、大会ＭＶＰを獲得した。Ｗカップには、2006年のドイツ大会からメンバー入りを果たしている。ベスト8へ進んだEURO2020(欧州選手権)スイス・オーストリア大会から、代表チームのスタメンに抜擢された。本戦の出場権を逃した南アフリカWカップ2010をのぞき、2年ごとに開催されるＷカップとＥＵＲＯには常時スタメンで出場している。
写真＝モドリッチ 版元:Getty Images 掲載元 FOOT BALL CHANNEL 2022年9月22日 https:/
世界的名声を馳せる彼だが、幼少期困難に直面した。1991年に彼が産まれたサダル郊外モドリッチ村は、セルビア軍によって占領された。同年12月、牛の世話をしている最中祖父は、セルビア軍によって殺害される。彼の家族は、60ｋｍ離れたザダルへ逃れ、難民生活を送った。地元のNKザダルのユースチームで頭角を現し、2002年に国内の強豪ディナモ・サグレブに移籍したのである。2018年にはクロアチア人選手として初のバロンドール（世界最優秀選手賞に相当）を受賞した。広い視野を持つ彼は、ボールコントロールに優れ、長短を織り交ぜたパスで、変化を付ける。彼はＷカップの予選リーグ3試合で0ゴールながら、存在感を発揮していた。
第2章 クロアチアの悲惨な紛争
以下 ユーゴスラヴィア関連の日記
・2021年1月21日付け 北マケドニアとチトー大統領について
https:/
・2022年2月20日付け スロベニアの紹介 チトー大統領について
https:/
�� プリトヴィツェ国立公園
地中海に面したクロアチアは、面積56,594平方キロメートル、九州地方の1,5倍になる。人口は406万人、通貨はクーナを使用する。観光立国として栄え、コロナ前まで人口の3倍以上の観光客が訪れていた。アドリア海に面したドブロブニクは、ジブリ映画「魔女の宅急便」のモデルとなったことでも知られている。アドリア海の真珠とたたえられるほど景観に優れ、真っ青な海沿いに白い砂浜が広がる。その先には、朱色のレンガ造りの建物が並ぶ。中世の面影が残る町並みでもある。
首都ザグレブから南へ110ｋｍに位置するボスニア・ヘルツェコヴィナとの国境沿いのプリトヴィツェ国立公園は、国内切手の観光名所である。
写真＝プリトヴィツェ湖畔国立公園郡から１枚 掲載元 HIS 世界遺産への旅より
https:/
ディナル・アルプス山地の１角に位置し、雨水に溶けやすい石灰岩のカルスト地形から成る。ディナル・アルプス山脈は、地質年代で第2紀,および第3紀にドロマイト、石灰岩、砂岩からなる堆積岩を土台とする。一帯をかつてテチス海が覆っていた。5億年前から10億年前に起きたアルプス地殻運動の間、側面への巨大な圧迫で地層が折り重なった。岩と岩の境目に当たる断層が垂直に動く。地質学用語で「衝上断層」が形成された。古代の造山運動の名残となる山脈の1角に位置する国立公園は、標高500ｍから640ｍに跨る。エメラルドグリーンに染まる湖や落差のある滝、広葉樹と針葉樹が混じる豊かな森が広がっている。高低差が135ｍになり、16個の湖が92の滝によって結ばれていた。最も落差のあるプリトヴィツェ滝は78ｍになる。手付かずの自然が残る園内は、1979年には世界自然遺産に登録された。高低差が生じるのは、独特の地質にある。カルシウムイオンと炭酸イオンが押し固まり、石灰岩が作られた。石灰岩のカルスト地形は、雨水の浸食により、内部が空洞化しやすい。ぽっかりと口を開けた洞窟になる。プリトヴィツェのように、炭酸カルシウムの塊状沈殿物が出来ることを「石灰華現象」という。石灰岩を形成する炭酸カルシウムが、コケに付着して、流されずに固まって、石に変わるのである。プリトヴィツェでは、1年で1ｃｍの速度で大きくなる。石灰岩を多く含む沈殿物で、とりわけ緻密で硬い物質を「トラバーチン」ともいう。階段状の湖が特徴的だ。地質学用語では、「石灰華段丘」という。一帯の地質は、水を通しにくいドロマイトと柔らかい石灰岩からなり、侵食の度合いに差がつきやすい。水によって削られることにより、時と共に形を変えている。
国立公園として保護され、126種の鳥類のうち70種の繁殖が確認された。植物は1146種になる。哺乳類では、ユーラシアカワウソやヨーロッパオオヤマネコなど絶滅危惧種が生息する。ヨーロッパヒグマやヨーロッパイノシシを含め、観光客の目から逃れ、森の中でひっそりと暮らしていた。周辺は開発が進む中、野生動物の安住の地となった。
�� 1992年から始まった紛争
豊かな自然は、一時危機的な状況に陥った。1991年から1995年まで4年にわたったセルビア人との間で起こった「クロアチア独立戦争」により、プリチヴィツェは戦場になったのである。クロアチアが属した旧ユーゴスラヴィア社会主義連邦共和国は、第2次世界大戦時に、日独伊から成る枢軸側の占領下に置かれていた。ソ連、イギリス、アメリカが支援する共産党が指揮をとるパルチザン部隊によって、全土開放される。1946年にユーゴスラヴィア社会主義連邦共和国として建国される。首班はパルチザン部隊の指導者チトーだった。1946年に首相となり、国の舵取りを任される。6つの共和国に一定程度自治を認める憲法を制定した。1953年には自ら大統領を名乗り、亡くなる1980年まで勤め上げる。工場を労働者へのスローガンを掲げる「自主管理社会主義」の下、一時は年率6％以上の経済成長を達成する程、国民の暮らしは豊かになった。一国社会主義のソ連や他の東欧諸国とは決別し、軍事的にも中立を保つ。ユーゴスラビアの主要民族は、セルビア人である。第2次世界大戦前までは、第2の民族クロアチア人との間で対立が起こっていた。現に第2次世界大戦時に、連合国が支援するパルチザン部隊に敗れたクロアチア独立国では、セルビア人による迫害が起こっていたのである。クロアチア独立国は、アンテ・パヴェリッチを首班とする民族主義者が集ったウスタシャによって建国された。ナチス・ドイツの傀儡となるファシスト政権だった。ウスタシャは、民族浄化作戦の元、正教徒が多いセルビア人にカトリックへの改宗を強要し、反対者を逮捕・投獄した。1941年にヤセノヴァッツで建てた収容所には、レンガやチェーン工場に、セルビア人を送り込み、強制労働をさせた。一説によると、ヤセノヴァッツ収容所え犠牲になったセルビア人は、100万人といわれている。対して、91年の独立後、クロアチア共和国側は犠牲者2800人と数値を出している。第3国のアメリカにあるホロコースト博物館の研究員によると、7万7000人から9万9000人の間とみている。収容者は、ティトーが率いるパルチザン部隊によって、1944年12月に首都ベオグラードが開放された。1945年5月にクロアチア独立国の残存勢力は駆逐され、パヴェリッチは亡命する。
写真左＝ドナウ連邦建国史 https:/
写真右＝ティトー大統領 掲載元 ウィキペディア
新たにユーゴスラビア社会主義連邦共和国として歩むうえで、民族間の融和は不可欠だった。首班のティトーは、クロアチア人の父親とスロベニア人の母親の間から産まれ、民族間の対立を避けるように考えた。1947年10月5日に、ソ連共産党のスターリンを下に結成された共産党の連絡会議「コミンフォルム」に加わった。事務局は、リーダー的素質をかわれたチトーが率いるセルビアの首都ベオグラードに設置された。二次大戦中、チトー率いるパルチザン部隊の最大の支援者はスターリンだった。東欧の二人のリーダーは、路線の違いで決別する。民族主義的偏向があると非難されたチトーは、結成翌年の1948年6月に除名された。東欧で孤立したユーゴスラヴィアは、非同盟主義を掲げ、独自路線を歩んだ。経済成長をすることにより、異なる民族の間でまとまり、他国との紛争も回避した。1971年に、二次大戦後最大規模の衝突が起こった。クロアチアの春と呼ばれる民主化運動により、セルビア人との間で一時的に対立したのである。ソ連と異なり、情報統制が緩やかだった連邦共和国内で、西欧の自由な社会を求める声が強かったのである。チトーを率いる連邦政府は、デモ隊を鎮圧し、首謀者を逮捕・投獄した。6つの共和国から成る連邦内で混乱を避けるため、1974年に改正した憲法では、自治権の強化と共に、住民投票による独立の権限を認めた。民族間を一つにまとめあげたティトーは、カリスマとして名を馳せ、西欧からも高い評価を受けている。1980年に彼が亡くなると、大統領の座は、6つの共和国と2つの自治州の代表者の輪番制に変わった。1989年にセルビア大統領のミロシェビッチの番になると、連邦は解体への道を歩む。セルビア内で北部のヴォイヴォディナと南部のコソヴォの自治権が停止された。セルビア政府によって、自治の長が認定されたのである。ユーゴスラヴィア連邦内の議会において、6つの共和国と2つの自治州の8つの代表者の賛成多数で法案の可否が決まった。2つの自治州と相棒のモンテネグロ、セルビア寄りの北マケドニアが手を組めば、他の3共和国が反対しても、法案が通るのである。同年東欧革命により、ユーゴスラビアの各共和国の間でも民主化の動きが高まっていた。クロアチアは1990年に自由選挙を行い、ユーゴスラヴィア離脱を掲げるフラニョ・トゥジマン率いる民主主義政党「クロアチア民主同盟」が勝利した。同年12月にはクロアチア共和国内で新憲法を制定し、独立へ向けて手続きを踏む。1991年6月25日に、スロベニアと共に、独立宣言をした。連邦解体に危機感を持ったのは、主要民族のセルビア人だった。セルビアの大統領ミロシェヴィッチは、アドリア海の出口を求めていた。クロアチアに暮らすセルビア人の独立反対運動を助ける口実で、軍を派遣する。同年9月には、首都ザグレブに、セルビア軍が進撃した。南部のドブロブニクでは、陸側と海側から7ヶ月間にもわたりセルビア軍に包囲される。1991年11月に、国連が間に入り、セルビア人とクロアチア人との間で休戦協定が結ばれる。クロアチア内のダルマティア地方が「クライナ・セルビア人共和国」として独立宣言をした。セルビア人が多く暮らすスラヴォニア地方もクロアチアから離脱する。独立宣言こそなかったものの、クロアチアの統制が及んでいなかった。休戦協定後も散発的な争いは、95年まで続く。
写真左＝現在の旧ユーゴスラヴィアの７カ国の地図 掲載元 デーリー東北 ２０２１年６月２６日付け https:/
写真右＝クロアチア初代大統領 フラニョ・トゥジマン 掲載元 ウィキペディア
�� 終戦後の歩み 全土開放
クロアチアは1992年の休戦協定から1995年までの間に、全土奪還に向けて、作戦を練る。警察軍を共和国軍に再編、アメリカの支援の元で大幅な強化を行った。1995年5月に西スラヴォニアを奪還した。同年8月4日から7日まで4日に渡り「嵐作戦」と呼ばれる36時間かけて、地上から軍隊を進めた。クライナ・セルビア人共和国を支配するセルビア軍に奇襲をかけて追放した。嵐作戦により、20万人のセルビア人が難民となり、ボスニア・ヘルツェコヴィナの同民族の支配地域、またはセルビア本国に逃れたという。クロアチア軍は、全土解放に向けて、残るは、東スラヴォニアである。暫定的に国連管理下に置かれた後、1997年の住民投票によって帰属権が決められた。地域内の選挙により、クロアチア民主同盟が勝利したことにより、住民の意思決定で、1998年1月15日に戻ってきたのである。独立戦争の被害は、クロアチア政府の発表によると、死者10668人、行方不明者2915人、負傷者37180人、難民（居住地を追われた人）約20万人であった。他方、セルビア人勢力側では、死者、行方不明者合わせて8039人、難民約45万人にのぼったと言われている。
プリトヴィツェ国立公園は、幸いにも景観の破壊は最小限にとどまっていた。生態系の変化は、魚の数が減ったことにある。セルビア軍が、湖にダイナマイトを仕掛け、魚を一度に大量捕獲を企てた可能性がある。紛争終結後、クロアチア政府管理の下、観光客を呼び込み、多くの雇用を生み出した。2022年の今なお、復興途上にある。
隣国のボスニア・ヘルツェコヴィナでも、92年から95年まで民族間の激しい争いが起こっていた。当初は、正教徒のセルビア人、カトリックのクロアチア人、イスラム教のボスニャク人の三つ巴の戦いだった。94年に、アメリカの勧めにより、クロアチア人とボスニャク人が対セルビアの共同戦線を張った。ＮＡＴＯの介入により、セルビア側の攻撃が停止する。1995年12月、オハイオ州のデイトンに、3つの民族の代表者が集った。デイトン合意により、クロアチア人とボスニャク人からなるボスニアヘルツェコヴィナ連邦、セルビア人が中心のスルプスカ共和国から成る連邦国家として歩むことになった。
クロアチアは、2012年に住民投票の結果を受けて、ＥＵへの加盟申請をし、翌13年7月1日に承諾された。西欧諸国と外交関係を築き、セルビアとの融和を続けながら、21世紀を歩んでいる。
詳細記事 灼熱 １．クロアチア人とセルビア人の対立はなぜ起こったのか？
https:/
詳細記事 CROATIA TOURES 支配と独立の連続だったクロアチア激動の歴史
第3章 日本 対 クロアチア戦レポート
日本時間12月5日24時、決勝トーナメント1回戦、日本（Ｅ組1位） 対 クロアチア（Ｆ組2位）戦が、アルジャヌーブ スタジアムで行われる。
本文 リンク無記載 写真 掲載元 スポーツナビ 日本対クロアチア テキスト速報よりhttps:/
日本は大会2ゴールを堂安が、久保に代わって、右サイドで初めて先発起用された。2ボランチの1角田中がベンチに下がり、遠藤が起用されている。一方クロアチアの方は、3試合で出場選手は16人にとどまり、メンバーも固定して戦っている。
右エンドにクロアチア、左エンドに日本が入り、クロアチアボールで始まった。クロアチアは８分、ＧＫリヴァコビッチが蹴ったボールを、左サイドのペリシッチが反応する。３バックの右に入る富安が対応するものの、フィジカルで負けて、倒れた。権田がニアサイドのスペースを消す。ペリシッチのシュートは、重心を左に倒した権田がセーブした。権田は速やかに前に出たことにより、的確に反応した。３３歳の彼は、経験を積んだことにより、間合いの取り方、ポジショニングに優れている。
ピンチを迎えた日本は１１分、伊東が右サイドを駆け上がり、ゴール前にクロスを送った。キーパーとディフェンスの間を抜けていくボールに、センターバックのロブレンを振り切ったトップの前田が飛び込んだ。前田の足先をボールが抜けていくと、永友が足に合わせた。シュートまで持っていけず、脛にボールが当たって、ゴールラインを割った。ゲームは、いったん落ち着いた。日本は、右アウトサイドの伊東と左アウトサイドの長友が、随所にゴール前に上がる。トップの前田は、スペイン戦と同じく、度々前線からプレッシャーをかける。対照的にクロアチアは、パスを繋ぎながら、ゴール前のスペースを探る。ゲームメーカーのモドリッチに対し、ボランチの遠藤と森田がきっちりとマークした。ボール支配率は、若干クロアチアが上回るものの、概ね日本ペースで進む。４３分、右サイドのコーナーキックのキッカーを堂安がつとめる。左斜め後ろの伊東にいったんボールを預けて、走りながらリターンパスをもらう。斜め４５度の位置で堂安は左足でクロスを送った。ゴール前まで上がっていたセンターバックの吉田の足に当たって、こぼれた。前田が左足でシュートした。横とびしたＧＫリヴァコヴィッチの手はボールに届かず、右ネットに突き刺さった。１対０．ショートコーナーにより、微妙にゴール前のマークがずれた結果、先取点が生まれた。前田は、代表通産２点目、高い守備力が評価されながら、ＦＷの最大の役目となるゴールを記録した。
前半、日本は高さで勝る相手に対して、セットプレー時にショートコーナーを使って、変化を付けて、先取点を奪った。対してクロアチアは、モドリッチにボールが収まらず、サイドからのクロスボールを展開する。タイトな日本守備陣に苦しみ、無得点だった。
後半９分、クロアチアは、右サイドバックのユラノヴィッチが、左斜め後ろのロブレンにパスを出す。ロブレンは、ボールを止めて、右足でゴール前にクロスを送った。柔らかいボールを、ペリシッチがヘディングで合わせた。中央にポジションをとっていた権田は横とびするものの、ボールに届かず、右ネットを揺らした。１対０．ペリシッチは、伊東のマークから離れ、フリーの状態でヘディングした。
追いつかれた日本は１２分、ボランチの１角遠藤が、ミドルシュートを打った。巻いていくボールは、ジャンプしたＧＫリヴァコヴィッチの右手に当たって、コーナーキックになった。遠藤のシュートしたボールは、落差があり、キーパーの手元で微妙に変化した。リヴァコヴィッチの読みが鋭く、しっかり手を伸ばしたことにより、ゴールにならなかったのである。
クロアチアは、中盤のルーズボールをものにし、徐々にリズムを取り戻す。１３分、吉田から伊東へのパスを、モドリッチが狙う。モドリッチは伊東にプレスをかけて、ボールを奪取する。後ろから上がってきたペリシッチが入れ替わるようにボールをもらって、駆け上がる。ボランチの遠藤が戻り、富安と吉田が肩を当てる。ペリシッチは、ボールを離してしまう。守田がクリアした。ペリシッチのドリブルに対して、速やかに体を寄せたことにより、ファウルせずにボール奪取に成功した。中盤の運動量ではクロアチアが上回りつつある。日本は、やや後手に回っていた。徐々にボールタッチ数が多くなったモドリッチは、続く１８分にミドルレンジから右足でシュートを打った。キッカーからみて左方向にとんだ権田が両手でセーブすると、クロスバーの上を越えていった。モドリッチは、ボールタッチが柔らかく、正確なシュートを打つ。日本は、紙一重で権田のセーブにより、勝ち越しゴールを逃れた。
状況を変えるべく森保監督は１８分に、２枚のカードを切った。先制ゴールの前田に代えて、浅野を、左アウトサイドの長友の代わりに三苫を投入した。早速三苫は、２５分頃左サイドからドリブルを仕掛ける。同じく代わって入ったパシャリッチ（後半２３分から出場）に肩を当てられ、阻止された。前後半９０分で決着がつかず、延長戦に入った。両チームリスクを犯かすことなく、ゲームは膠着した展開に代わった。クロアチアは、三苫に対して速やかにブロックする。日本は攻め手を欠いている状況である。
15分ハーフの30分にわたる延長戦でも決着がつかず、勝負はＰＫ戦にもつれこんだ。最大のハイライトは延長前半14分、左から右に攻める日本の三苫のプレーである。三苫は、自陣30ｍ付近からドリブル突破を仕掛ける。スピードが落ちることなく、左側から中央へと切れ込み、ゴールから約25ｍ付近から右足でシュートを打った。ライナー性のボールを、ジャンプしたＧＫルヴァコヴィッチがセーブした。三苫のドリブル距離は50ｍ、足元にボールが落ち着き、個人技でフィニッシュに持っていった。PK戦は日本サポーター側の左側で行われる。先手をとった日本の一人目のキッカーは、途中出場の南野である。助走をつけて、右足を振りぬいた。球の勢いがなく、キッカーからみて右に飛んだルヴァコヴィッチが防いだ。南野は頭を抱えた。若干軸足が躓いたのか、シュートの精度を欠いていた。
その裏クロアチアのキッカーは、ブラシッチ、力強く右足で左ネットにけりこんだ。権田の読みはあたったものの、ネットを揺らした。0対１．
リードを許した日本の2人目のキッカーは三苫、右足でシュートしたボールは、勢いを失った。重心を右に倒したルヴァコヴィッチが、右手一本でセーブした。その裏クロアチアのブロゾビッチは、キッカーからみて右に飛ぶ権田の動きを見て、ネット真ん中に蹴り込んだ。０対２．
3人目表のキッカーは浅野である。エリア手前から助走を付けて、右足を振りぬいた。左に動くキーパーの反対サイドとなる右ネットに決めた。浅野は、キーパーの動きを読めた分、逆を突くことができたのである。3人目の裏のキッカーはリヴァヤ、短い助走から右足でシュートした。まっすぐ飛んだボールに、ＧＫ権田もしっかり反応する。左ポストに当たって、跳ね返された。1対２．
4人目の表のキッカーは吉田、左側から助走をして、右足を振りぬいた。ジャストミートせず、重心を右に倒したルヴァコヴィッチに止められた。
4人目の裏、勝負を決定付けるキッカーを任されたのはパシャリッチ、右足でシュートすると、横とびしたＧＫ権田の反対サイドとなる左ネットを揺らした。1対３。ＰＫ戦の末にクロアチアが勝利した。日本は、4人中成功したのは浅野一人である。失敗した3人は、ＧＫルヴァコヴィッチの動きに合わせるかのように蹴ってしまった分、コースが極めて甘かったのである。対照的にクロアチアのキッカーは、ＧＫ権田の動きを意識せずに、狙い通りのコースにシュートしていた。クロアチアの勝負強さが現れた一戦だった。
4人目の裏、勝負を決定付けるキッカーを任されたのはパシャリッチ、右足でシュートすると、横とびしたＧＫ権田の反対サイドとなる左ネットを揺らした。3対１。ＰＫ戦の末にクロアチアが勝利した。4人中成功したのは浅野一人である。失敗した3人は、ＧＫルヴァコヴィッチの動きに合わせるかのように蹴ってしまった分、コースが極めて甘かったのである。対照的にクロアチアのキッカーは、ＧＫ権田の動きを意識せずに、狙い通りのコースにシュートしていた。クロアチアの勝負強さが現れた一戦だった。
https:/
両者は、Ｗカップで、通産3度目の対戦となった。過去の対戦成績は1勝1分でクロアチアに分がある
過去Ｗカップの最高成績は、ベスト16が3回の日本に対してクロアチアは、前回2018年大会で、フランスに次ぐ、準優勝の成績を残した。経験値ではクロアチアが上回りながら、ドイツとスペインを倒した日本の方が、勢いがあるとみられている。
前回Ｗカップ企画5 セルビア 対 スイス戦レポート https:/
前々回Wカップ企画4 日本 対 スペイン戦 レポート
https:/
目次
第1章 クロアチアのスター選手ルカ・モドリッチについて
第2章 クロアチアの悲惨な紛争
�� プリトヴィツェ国立公園
�� 1992年から始まった紛争
�� 終戦後の歩み 全土開放
第3章 日本 対 クロアチア戦レポート
第1章 クロアチアのスター選手ルカ・モドリッチについて
独立後、ＷカップやEUROを含め、コンスタントに大舞台へ出場するほど実績を上げてきたチームの主軸を担うのは、ルカ・モドリッチである。1985年9月9日産まれの37歳モドリッチは、中盤のゲームメーカーとして存在感を放つ。前回2018年のロシアＷカップでは、大会ＭＶＰを獲得した。Ｗカップには、2006年のドイツ大会からメンバー入りを果たしている。ベスト8へ進んだEURO2020(欧州選手権)スイス・オーストリア大会から、代表チームのスタメンに抜擢された。本戦の出場権を逃した南アフリカWカップ2010をのぞき、2年ごとに開催されるＷカップとＥＵＲＯには常時スタメンで出場している。
写真＝モドリッチ 版元:Getty Images 掲載元 FOOT BALL CHANNEL 2022年9月22日 https:/
世界的名声を馳せる彼だが、幼少期困難に直面した。1991年に彼が産まれたサダル郊外モドリッチ村は、セルビア軍によって占領された。同年12月、牛の世話をしている最中祖父は、セルビア軍によって殺害される。彼の家族は、60ｋｍ離れたザダルへ逃れ、難民生活を送った。地元のNKザダルのユースチームで頭角を現し、2002年に国内の強豪ディナモ・サグレブに移籍したのである。2018年にはクロアチア人選手として初のバロンドール（世界最優秀選手賞に相当）を受賞した。広い視野を持つ彼は、ボールコントロールに優れ、長短を織り交ぜたパスで、変化を付ける。彼はＷカップの予選リーグ3試合で0ゴールながら、存在感を発揮していた。
第2章 クロアチアの悲惨な紛争
以下 ユーゴスラヴィア関連の日記
・2021年1月21日付け 北マケドニアとチトー大統領について
https:/
・2022年2月20日付け スロベニアの紹介 チトー大統領について
https:/
�� プリトヴィツェ国立公園
地中海に面したクロアチアは、面積56,594平方キロメートル、九州地方の1,5倍になる。人口は406万人、通貨はクーナを使用する。観光立国として栄え、コロナ前まで人口の3倍以上の観光客が訪れていた。アドリア海に面したドブロブニクは、ジブリ映画「魔女の宅急便」のモデルとなったことでも知られている。アドリア海の真珠とたたえられるほど景観に優れ、真っ青な海沿いに白い砂浜が広がる。その先には、朱色のレンガ造りの建物が並ぶ。中世の面影が残る町並みでもある。
首都ザグレブから南へ110ｋｍに位置するボスニア・ヘルツェコヴィナとの国境沿いのプリトヴィツェ国立公園は、国内切手の観光名所である。
写真＝プリトヴィツェ湖畔国立公園郡から１枚 掲載元 HIS 世界遺産への旅より
https:/
ディナル・アルプス山地の１角に位置し、雨水に溶けやすい石灰岩のカルスト地形から成る。ディナル・アルプス山脈は、地質年代で第2紀,および第3紀にドロマイト、石灰岩、砂岩からなる堆積岩を土台とする。一帯をかつてテチス海が覆っていた。5億年前から10億年前に起きたアルプス地殻運動の間、側面への巨大な圧迫で地層が折り重なった。岩と岩の境目に当たる断層が垂直に動く。地質学用語で「衝上断層」が形成された。古代の造山運動の名残となる山脈の1角に位置する国立公園は、標高500ｍから640ｍに跨る。エメラルドグリーンに染まる湖や落差のある滝、広葉樹と針葉樹が混じる豊かな森が広がっている。高低差が135ｍになり、16個の湖が92の滝によって結ばれていた。最も落差のあるプリトヴィツェ滝は78ｍになる。手付かずの自然が残る園内は、1979年には世界自然遺産に登録された。高低差が生じるのは、独特の地質にある。カルシウムイオンと炭酸イオンが押し固まり、石灰岩が作られた。石灰岩のカルスト地形は、雨水の浸食により、内部が空洞化しやすい。ぽっかりと口を開けた洞窟になる。プリトヴィツェのように、炭酸カルシウムの塊状沈殿物が出来ることを「石灰華現象」という。石灰岩を形成する炭酸カルシウムが、コケに付着して、流されずに固まって、石に変わるのである。プリトヴィツェでは、1年で1ｃｍの速度で大きくなる。石灰岩を多く含む沈殿物で、とりわけ緻密で硬い物質を「トラバーチン」ともいう。階段状の湖が特徴的だ。地質学用語では、「石灰華段丘」という。一帯の地質は、水を通しにくいドロマイトと柔らかい石灰岩からなり、侵食の度合いに差がつきやすい。水によって削られることにより、時と共に形を変えている。
国立公園として保護され、126種の鳥類のうち70種の繁殖が確認された。植物は1146種になる。哺乳類では、ユーラシアカワウソやヨーロッパオオヤマネコなど絶滅危惧種が生息する。ヨーロッパヒグマやヨーロッパイノシシを含め、観光客の目から逃れ、森の中でひっそりと暮らしていた。周辺は開発が進む中、野生動物の安住の地となった。
�� 1992年から始まった紛争
豊かな自然は、一時危機的な状況に陥った。1991年から1995年まで4年にわたったセルビア人との間で起こった「クロアチア独立戦争」により、プリチヴィツェは戦場になったのである。クロアチアが属した旧ユーゴスラヴィア社会主義連邦共和国は、第2次世界大戦時に、日独伊から成る枢軸側の占領下に置かれていた。ソ連、イギリス、アメリカが支援する共産党が指揮をとるパルチザン部隊によって、全土開放される。1946年にユーゴスラヴィア社会主義連邦共和国として建国される。首班はパルチザン部隊の指導者チトーだった。1946年に首相となり、国の舵取りを任される。6つの共和国に一定程度自治を認める憲法を制定した。1953年には自ら大統領を名乗り、亡くなる1980年まで勤め上げる。工場を労働者へのスローガンを掲げる「自主管理社会主義」の下、一時は年率6％以上の経済成長を達成する程、国民の暮らしは豊かになった。一国社会主義のソ連や他の東欧諸国とは決別し、軍事的にも中立を保つ。ユーゴスラビアの主要民族は、セルビア人である。第2次世界大戦前までは、第2の民族クロアチア人との間で対立が起こっていた。現に第2次世界大戦時に、連合国が支援するパルチザン部隊に敗れたクロアチア独立国では、セルビア人による迫害が起こっていたのである。クロアチア独立国は、アンテ・パヴェリッチを首班とする民族主義者が集ったウスタシャによって建国された。ナチス・ドイツの傀儡となるファシスト政権だった。ウスタシャは、民族浄化作戦の元、正教徒が多いセルビア人にカトリックへの改宗を強要し、反対者を逮捕・投獄した。1941年にヤセノヴァッツで建てた収容所には、レンガやチェーン工場に、セルビア人を送り込み、強制労働をさせた。一説によると、ヤセノヴァッツ収容所え犠牲になったセルビア人は、100万人といわれている。対して、91年の独立後、クロアチア共和国側は犠牲者2800人と数値を出している。第3国のアメリカにあるホロコースト博物館の研究員によると、7万7000人から9万9000人の間とみている。収容者は、ティトーが率いるパルチザン部隊によって、1944年12月に首都ベオグラードが開放された。1945年5月にクロアチア独立国の残存勢力は駆逐され、パヴェリッチは亡命する。
写真左＝ドナウ連邦建国史 https:/
写真右＝ティトー大統領 掲載元 ウィキペディア
新たにユーゴスラビア社会主義連邦共和国として歩むうえで、民族間の融和は不可欠だった。首班のティトーは、クロアチア人の父親とスロベニア人の母親の間から産まれ、民族間の対立を避けるように考えた。1947年10月5日に、ソ連共産党のスターリンを下に結成された共産党の連絡会議「コミンフォルム」に加わった。事務局は、リーダー的素質をかわれたチトーが率いるセルビアの首都ベオグラードに設置された。二次大戦中、チトー率いるパルチザン部隊の最大の支援者はスターリンだった。東欧の二人のリーダーは、路線の違いで決別する。民族主義的偏向があると非難されたチトーは、結成翌年の1948年6月に除名された。東欧で孤立したユーゴスラヴィアは、非同盟主義を掲げ、独自路線を歩んだ。経済成長をすることにより、異なる民族の間でまとまり、他国との紛争も回避した。1971年に、二次大戦後最大規模の衝突が起こった。クロアチアの春と呼ばれる民主化運動により、セルビア人との間で一時的に対立したのである。ソ連と異なり、情報統制が緩やかだった連邦共和国内で、西欧の自由な社会を求める声が強かったのである。チトーを率いる連邦政府は、デモ隊を鎮圧し、首謀者を逮捕・投獄した。6つの共和国から成る連邦内で混乱を避けるため、1974年に改正した憲法では、自治権の強化と共に、住民投票による独立の権限を認めた。民族間を一つにまとめあげたティトーは、カリスマとして名を馳せ、西欧からも高い評価を受けている。1980年に彼が亡くなると、大統領の座は、6つの共和国と2つの自治州の代表者の輪番制に変わった。1989年にセルビア大統領のミロシェビッチの番になると、連邦は解体への道を歩む。セルビア内で北部のヴォイヴォディナと南部のコソヴォの自治権が停止された。セルビア政府によって、自治の長が認定されたのである。ユーゴスラヴィア連邦内の議会において、6つの共和国と2つの自治州の8つの代表者の賛成多数で法案の可否が決まった。2つの自治州と相棒のモンテネグロ、セルビア寄りの北マケドニアが手を組めば、他の3共和国が反対しても、法案が通るのである。同年東欧革命により、ユーゴスラビアの各共和国の間でも民主化の動きが高まっていた。クロアチアは1990年に自由選挙を行い、ユーゴスラヴィア離脱を掲げるフラニョ・トゥジマン率いる民主主義政党「クロアチア民主同盟」が勝利した。同年12月にはクロアチア共和国内で新憲法を制定し、独立へ向けて手続きを踏む。1991年6月25日に、スロベニアと共に、独立宣言をした。連邦解体に危機感を持ったのは、主要民族のセルビア人だった。セルビアの大統領ミロシェヴィッチは、アドリア海の出口を求めていた。クロアチアに暮らすセルビア人の独立反対運動を助ける口実で、軍を派遣する。同年9月には、首都ザグレブに、セルビア軍が進撃した。南部のドブロブニクでは、陸側と海側から7ヶ月間にもわたりセルビア軍に包囲される。1991年11月に、国連が間に入り、セルビア人とクロアチア人との間で休戦協定が結ばれる。クロアチア内のダルマティア地方が「クライナ・セルビア人共和国」として独立宣言をした。セルビア人が多く暮らすスラヴォニア地方もクロアチアから離脱する。独立宣言こそなかったものの、クロアチアの統制が及んでいなかった。休戦協定後も散発的な争いは、95年まで続く。
写真左＝現在の旧ユーゴスラヴィアの７カ国の地図 掲載元 デーリー東北 ２０２１年６月２６日付け https:/
写真右＝クロアチア初代大統領 フラニョ・トゥジマン 掲載元 ウィキペディア
�� 終戦後の歩み 全土開放
クロアチアは1992年の休戦協定から1995年までの間に、全土奪還に向けて、作戦を練る。警察軍を共和国軍に再編、アメリカの支援の元で大幅な強化を行った。1995年5月に西スラヴォニアを奪還した。同年8月4日から7日まで4日に渡り「嵐作戦」と呼ばれる36時間かけて、地上から軍隊を進めた。クライナ・セルビア人共和国を支配するセルビア軍に奇襲をかけて追放した。嵐作戦により、20万人のセルビア人が難民となり、ボスニア・ヘルツェコヴィナの同民族の支配地域、またはセルビア本国に逃れたという。クロアチア軍は、全土解放に向けて、残るは、東スラヴォニアである。暫定的に国連管理下に置かれた後、1997年の住民投票によって帰属権が決められた。地域内の選挙により、クロアチア民主同盟が勝利したことにより、住民の意思決定で、1998年1月15日に戻ってきたのである。独立戦争の被害は、クロアチア政府の発表によると、死者10668人、行方不明者2915人、負傷者37180人、難民（居住地を追われた人）約20万人であった。他方、セルビア人勢力側では、死者、行方不明者合わせて8039人、難民約45万人にのぼったと言われている。
プリトヴィツェ国立公園は、幸いにも景観の破壊は最小限にとどまっていた。生態系の変化は、魚の数が減ったことにある。セルビア軍が、湖にダイナマイトを仕掛け、魚を一度に大量捕獲を企てた可能性がある。紛争終結後、クロアチア政府管理の下、観光客を呼び込み、多くの雇用を生み出した。2022年の今なお、復興途上にある。
隣国のボスニア・ヘルツェコヴィナでも、92年から95年まで民族間の激しい争いが起こっていた。当初は、正教徒のセルビア人、カトリックのクロアチア人、イスラム教のボスニャク人の三つ巴の戦いだった。94年に、アメリカの勧めにより、クロアチア人とボスニャク人が対セルビアの共同戦線を張った。ＮＡＴＯの介入により、セルビア側の攻撃が停止する。1995年12月、オハイオ州のデイトンに、3つの民族の代表者が集った。デイトン合意により、クロアチア人とボスニャク人からなるボスニアヘルツェコヴィナ連邦、セルビア人が中心のスルプスカ共和国から成る連邦国家として歩むことになった。
クロアチアは、2012年に住民投票の結果を受けて、ＥＵへの加盟申請をし、翌13年7月1日に承諾された。西欧諸国と外交関係を築き、セルビアとの融和を続けながら、21世紀を歩んでいる。
詳細記事 灼熱 １．クロアチア人とセルビア人の対立はなぜ起こったのか？
https:/
詳細記事 CROATIA TOURES 支配と独立の連続だったクロアチア激動の歴史
第3章 日本 対 クロアチア戦レポート
日本時間12月5日24時、決勝トーナメント1回戦、日本（Ｅ組1位） 対 クロアチア（Ｆ組2位）戦が、アルジャヌーブ スタジアムで行われる。
本文 リンク無記載 写真 掲載元 スポーツナビ 日本対クロアチア テキスト速報よりhttps:/
日本は大会2ゴールを堂安が、久保に代わって、右サイドで初めて先発起用された。2ボランチの1角田中がベンチに下がり、遠藤が起用されている。一方クロアチアの方は、3試合で出場選手は16人にとどまり、メンバーも固定して戦っている。
右エンドにクロアチア、左エンドに日本が入り、クロアチアボールで始まった。クロアチアは８分、ＧＫリヴァコビッチが蹴ったボールを、左サイドのペリシッチが反応する。３バックの右に入る富安が対応するものの、フィジカルで負けて、倒れた。権田がニアサイドのスペースを消す。ペリシッチのシュートは、重心を左に倒した権田がセーブした。権田は速やかに前に出たことにより、的確に反応した。３３歳の彼は、経験を積んだことにより、間合いの取り方、ポジショニングに優れている。
ピンチを迎えた日本は１１分、伊東が右サイドを駆け上がり、ゴール前にクロスを送った。キーパーとディフェンスの間を抜けていくボールに、センターバックのロブレンを振り切ったトップの前田が飛び込んだ。前田の足先をボールが抜けていくと、永友が足に合わせた。シュートまで持っていけず、脛にボールが当たって、ゴールラインを割った。ゲームは、いったん落ち着いた。日本は、右アウトサイドの伊東と左アウトサイドの長友が、随所にゴール前に上がる。トップの前田は、スペイン戦と同じく、度々前線からプレッシャーをかける。対照的にクロアチアは、パスを繋ぎながら、ゴール前のスペースを探る。ゲームメーカーのモドリッチに対し、ボランチの遠藤と森田がきっちりとマークした。ボール支配率は、若干クロアチアが上回るものの、概ね日本ペースで進む。４３分、右サイドのコーナーキックのキッカーを堂安がつとめる。左斜め後ろの伊東にいったんボールを預けて、走りながらリターンパスをもらう。斜め４５度の位置で堂安は左足でクロスを送った。ゴール前まで上がっていたセンターバックの吉田の足に当たって、こぼれた。前田が左足でシュートした。横とびしたＧＫリヴァコヴィッチの手はボールに届かず、右ネットに突き刺さった。１対０．ショートコーナーにより、微妙にゴール前のマークがずれた結果、先取点が生まれた。前田は、代表通産２点目、高い守備力が評価されながら、ＦＷの最大の役目となるゴールを記録した。
前半、日本は高さで勝る相手に対して、セットプレー時にショートコーナーを使って、変化を付けて、先取点を奪った。対してクロアチアは、モドリッチにボールが収まらず、サイドからのクロスボールを展開する。タイトな日本守備陣に苦しみ、無得点だった。
後半９分、クロアチアは、右サイドバックのユラノヴィッチが、左斜め後ろのロブレンにパスを出す。ロブレンは、ボールを止めて、右足でゴール前にクロスを送った。柔らかいボールを、ペリシッチがヘディングで合わせた。中央にポジションをとっていた権田は横とびするものの、ボールに届かず、右ネットを揺らした。１対０．ペリシッチは、伊東のマークから離れ、フリーの状態でヘディングした。
追いつかれた日本は１２分、ボランチの１角遠藤が、ミドルシュートを打った。巻いていくボールは、ジャンプしたＧＫリヴァコヴィッチの右手に当たって、コーナーキックになった。遠藤のシュートしたボールは、落差があり、キーパーの手元で微妙に変化した。リヴァコヴィッチの読みが鋭く、しっかり手を伸ばしたことにより、ゴールにならなかったのである。
クロアチアは、中盤のルーズボールをものにし、徐々にリズムを取り戻す。１３分、吉田から伊東へのパスを、モドリッチが狙う。モドリッチは伊東にプレスをかけて、ボールを奪取する。後ろから上がってきたペリシッチが入れ替わるようにボールをもらって、駆け上がる。ボランチの遠藤が戻り、富安と吉田が肩を当てる。ペリシッチは、ボールを離してしまう。守田がクリアした。ペリシッチのドリブルに対して、速やかに体を寄せたことにより、ファウルせずにボール奪取に成功した。中盤の運動量ではクロアチアが上回りつつある。日本は、やや後手に回っていた。徐々にボールタッチ数が多くなったモドリッチは、続く１８分にミドルレンジから右足でシュートを打った。キッカーからみて左方向にとんだ権田が両手でセーブすると、クロスバーの上を越えていった。モドリッチは、ボールタッチが柔らかく、正確なシュートを打つ。日本は、紙一重で権田のセーブにより、勝ち越しゴールを逃れた。
状況を変えるべく森保監督は１８分に、２枚のカードを切った。先制ゴールの前田に代えて、浅野を、左アウトサイドの長友の代わりに三苫を投入した。早速三苫は、２５分頃左サイドからドリブルを仕掛ける。同じく代わって入ったパシャリッチ（後半２３分から出場）に肩を当てられ、阻止された。前後半９０分で決着がつかず、延長戦に入った。両チームリスクを犯かすことなく、ゲームは膠着した展開に代わった。クロアチアは、三苫に対して速やかにブロックする。日本は攻め手を欠いている状況である。
15分ハーフの30分にわたる延長戦でも決着がつかず、勝負はＰＫ戦にもつれこんだ。最大のハイライトは延長前半14分、左から右に攻める日本の三苫のプレーである。三苫は、自陣30ｍ付近からドリブル突破を仕掛ける。スピードが落ちることなく、左側から中央へと切れ込み、ゴールから約25ｍ付近から右足でシュートを打った。ライナー性のボールを、ジャンプしたＧＫルヴァコヴィッチがセーブした。三苫のドリブル距離は50ｍ、足元にボールが落ち着き、個人技でフィニッシュに持っていった。PK戦は日本サポーター側の左側で行われる。先手をとった日本の一人目のキッカーは、途中出場の南野である。助走をつけて、右足を振りぬいた。球の勢いがなく、キッカーからみて右に飛んだルヴァコヴィッチが防いだ。南野は頭を抱えた。若干軸足が躓いたのか、シュートの精度を欠いていた。
その裏クロアチアのキッカーは、ブラシッチ、力強く右足で左ネットにけりこんだ。権田の読みはあたったものの、ネットを揺らした。0対１．
リードを許した日本の2人目のキッカーは三苫、右足でシュートしたボールは、勢いを失った。重心を右に倒したルヴァコヴィッチが、右手一本でセーブした。その裏クロアチアのブロゾビッチは、キッカーからみて右に飛ぶ権田の動きを見て、ネット真ん中に蹴り込んだ。０対２．
3人目表のキッカーは浅野である。エリア手前から助走を付けて、右足を振りぬいた。左に動くキーパーの反対サイドとなる右ネットに決めた。浅野は、キーパーの動きを読めた分、逆を突くことができたのである。3人目の裏のキッカーはリヴァヤ、短い助走から右足でシュートした。まっすぐ飛んだボールに、ＧＫ権田もしっかり反応する。左ポストに当たって、跳ね返された。1対２．
4人目の表のキッカーは吉田、左側から助走をして、右足を振りぬいた。ジャストミートせず、重心を右に倒したルヴァコヴィッチに止められた。
4人目の裏、勝負を決定付けるキッカーを任されたのはパシャリッチ、右足でシュートすると、横とびしたＧＫ権田の反対サイドとなる左ネットを揺らした。1対３。ＰＫ戦の末にクロアチアが勝利した。日本は、4人中成功したのは浅野一人である。失敗した3人は、ＧＫルヴァコヴィッチの動きに合わせるかのように蹴ってしまった分、コースが極めて甘かったのである。対照的にクロアチアのキッカーは、ＧＫ権田の動きを意識せずに、狙い通りのコースにシュートしていた。クロアチアの勝負強さが現れた一戦だった。
4人目の裏、勝負を決定付けるキッカーを任されたのはパシャリッチ、右足でシュートすると、横とびしたＧＫ権田の反対サイドとなる左ネットを揺らした。3対１。ＰＫ戦の末にクロアチアが勝利した。4人中成功したのは浅野一人である。失敗した3人は、ＧＫルヴァコヴィッチの動きに合わせるかのように蹴ってしまった分、コースが極めて甘かったのである。対照的にクロアチアのキッカーは、ＧＫ権田の動きを意識せずに、狙い通りのコースにシュートしていた。クロアチアの勝負強さが現れた一戦だった。
https:/
4
3
最近の日記
- 緊迫する中東情勢 4月20日から5月15日 停…
2024年05月16日13:59
- 中央アジアのウズベギスタンの歩み（ミルジ…
2024年05月05日21:15
- カタールの歴史 イスラム教受容から現在の…
2024年04月26日02:21
- 緊迫する中東情勢 3月から4月19日 イスラ…
2024年04月21日22:21
- 大地震の予兆を掴めるのか！研究最前線 4…
2024年04月19日22:48
ログインしてコメントを確認・投稿する