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2022年06月22日20:16

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新劇交流プロジェクト公演「美しきものの伝説」@俳優座劇場

新劇7団体の若手を中心とした合同公演の第2弾(初回は5年前に同じ鵜山さんの演出に
よる)は宮本研作の標題作、大正期の左翼運動を背景に実在の人物を描く文学座による
初演の再演です(多分何度も再演されており、今年も流山児事務所でも10月上演予定)

若手中心となっていますが、芳紀89歳の渡辺美佐子さんが松井須磨子役で出演されます
渡辺さんといえばワタシなどの世代にはTBSドラマ「ただ今11人」の次女敬子役が記憶
にあります(意外なことに長女役の池内淳子さんより年上なのですね)
なにしろ半世紀以上前のことなので、細かいことは覚えておりませんが、ジャーナリス
トだったか、メディア関係だったか、男勝りの飛んでる女性の役だったような

さすがに89歳ですから見た目はそれ相応ですが、言葉のディクションの明確なこと、昔
と変わっていません(ワタシは「化粧」は多分観ていない)
畑中先生は「演奏家的演奏論」の中で「渡辺美佐子の熱演には心打たれるものがあるが、
発声に関しては今一歩である(中略)この有能な女優がさらに発声に開眼するならば、
今後の新劇はどんなにか新しい面がひらけることであろう」とお書きになっていますが
ブル先生が今日の舞台をご覧になったら、ご自分の指摘を謙虚に取り入れた渡辺さんの
現在を喜ばれたのではないでしょうか

大逆事件に始まり、甘粕事件に終わる、大正デモクラシーと大正ロマンのベルエポック
が本当に良き時代であったのか、鵜山さんの言葉を借りるなら「ドン・キホーテ的エネ
ルギー」の持ち主たちがいかにして生き、現代の我々に投げかける夢の軌跡ということ
になるのでしょうか

ワタシは思想的に必ずしも首を縦に振ることはできないのですが、それでも登場人物
たちにある種の共感を覚えたことは確かです
もちろん、本日の舞台は時にカリカチュアライズされ、また美化されており、その共感
が正しいものとは限りませんが、でも鵜山さんが夢の再現を舞台に繰り広げて下さった
ことには感謝したいと思います

15分の休憩を挟んで3時間の長丁場でしたが、一気に観させていただきました
堺利彦役の能登剛さん(東演)と島村抱月役の鍛治直人さん(文学座)の演技が秀逸
鵜山さんのいつものデフォルメされた演技を、極めて自然に表現されていました

先週月曜の日経夕刊に渡辺美佐子さんの今回の舞台に関する記事が載っておりました
ので引用させていただきます(営利目的ではないので許されて)
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