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2021年11月27日05:59

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寄生者と宿主、捕食者と被捕食者の間に繰り広げられる「進化の軍拡競争」(前編):イモムシと寄生蜂

 人類を日々襲う武漢肺炎ウイルスと、私たちは戦場のように日々戦っている。未確認だが、スターリニスト中国の生物兵器として開発されたウイルスが武漢のウイルス研究所から漏れたとも考えられるし、野生のコウモリから中間宿主を通じてヒトに感染したとも言われる。

◎進化に深く関わったウイルス
 野生のコウモリからの感染では、一時期、西アフリカで大流行し、致死率90%ともされたために世界中を緊張させたエボラ出血熱も、病原体はウイルスである。
 しかしこれらは、まだヒトとの関係歴が浅く、ウイルスがヒトと平和的に共存できるまでに至らない初期の状態である。意思はないが、ウイルスにすれば、宿主のヒトを殺しては、自分も次世代を残せないから、長期的には必ず共存関係に入るのだ。実際、ヒトは進化の過程で、多種多様のウイルスに感染し、おそらくその度に多大の犠牲者を出しつつも、やがてウイルスと平和共存の関係になった。
 中には長い共存関係の末、ヒトの進化に大きく関与したウイルスもある(20年8月10日付日記:「私たち有胎盤哺乳類の進化と洗練化をもたらした太古のRNAウイルス感染」https://plaza.rakuten.co.jp/libpubli2/diary/202008100000/を参照)し、ヒトの体内で長く潜伏するウイルスもある(20年9月20日付日記:「我々の体内に潜むウイルス――それこそウイルスの成功者」https://plaza.rakuten.co.jp/libpubli2/diary/202009190000/を参照)

◎イモムシに寄生し、それを食料にして育つ昆虫も
 さて、ヒトから離れて、話を昆虫に移す。
 昆虫の幼虫(いわゆるイモムシ)は、軟らかで肉厚の体を持つことから、寄生蜂やウイルスなど、様々な天敵にさらされる。例えば非常に良く見られる寄生蜂では、幼虫に産卵し、幼虫体内で孵化した寄生蜂幼虫は宿主の体を食べて成長し、最終的に寄生した幼虫を食い破って殺してしまう(写真)。ウイルスもまた昆虫に感染し、同様に昆虫を死に至らしめることもある。
 これら寄生蜂やウイルスが昆虫に寄生、感染することにより、自然界で昆虫の増加が抑制され、そこから生物農薬として農作物や森林の害虫防除に利用される例もある。
 もし寄生蜂や寄生ウイルスがいなければ、世界は昆虫だらけになり、森や畑は食い荒らされ、大変なことになるだろう(もっとも自然はよくしたもので、そうなれば増えすぎた昆虫は食料不足になって大量死し、元の自然が復元されるが)。

◎生物界の「進化の軍拡競争」
 さて昆虫の側も、寄生蜂や寄生ウイルスのなすがままにはさせない。必ず、そのための対抗手段を長い時間・世代をかけて進化させる。その対抗手段が奏功し、寄生者が駆逐されそうになると、寄生者の側も昆虫に対して新たな対抗手段を進化させる。
 これを、「進化の軍拡競争」と呼ぶ。30年以上前の冷戦時代、アメリカとソ連という超大国は、軍拡競争を繰り広げたことに由来する。この軍拡競争は、経済力に大きく凌駕するアメリカの前に、ソ連は軍拡競争に耐えきれず、やがて1991年のソ連崩壊に至って終止符を打つ。しかし生物の進化の軍拡競争には、決して終わりはない。
 このことを僕は、かつての日記で述べたことがある(18年2月4日付日記:「NZミルフォード・トラックを歩く(5);進化の軍拡競争、ランスウッドという木の葉の『変態』=写真:絶滅した巨鳥モアの食害を免れようと、幼体だけ葉が剣先のように進化したランスウッドの木」https://plaza.rakuten.co.jp/libpubli2/diary/201802040000/、及び20年1月15日付日記:「エチオピア紀行(147):乾燥したワディの河川敷に生えるトゲだらけアカシア」https://plaza.rakuten.co.jp/libpubli2/diary/202001140000/を参照)。

◎三つどもえの「進化の軍拡競争」の報告
 先頃、アメリカの科学週刊誌『Science』で発表された日本の研究者を中心にした報告は、生物界の三つどもえの「進化の軍拡競争」を突き止めた極めて興味深いものだった。
 その詳細は、明日の後編に譲る。

注 容量制限をオーバーしているため、読者の皆様方にまことに申し訳ありませんが、本日記に写真を掲載できません。
 写真をご覧になりたい方は、お手数ですが、https://plaza.rakuten.co.jp/libpubli2/diary/202111270000/をクリックし、楽天ブログに飛んでいただければ、写真を見ることができます。

昨年の今日の日記:「先進国の出生減を引き起こしている武漢肺炎、今だけではない、将来の社会不安のタネに」https://plaza.rakuten.co.jp/libpubli2/diary/202011270000/

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