ジョージ・オーウェルが1949年に発表した『1984年』は、スターリン支配下のソ連(現ロシア)を皮肉った恐るべき近未来小説だが、今は恐怖度がもっと進んだスターリニスト中国からすれば、『1984年』はまだ優しいだろう。
◎「アメリカ人の完全な個人情報が中国に握られている」
この8月、アメリカ上院の情報特別委員会で、国家防諜安全保障センターの前長官から、ちょっと信じ難い発言が飛び出した。「アメリカ人成人の80%は、完全な個人情報が中国の手中にある」という。そして続けた。「アメリカ政府が自国民に関して持つ以上の情報を中国は持っているかもしれない……」。
スターリニスト中国が、自国民のあらゆる個人情報を、街中の監視カメラでの顔認証収集やSNSの監視で得ているのは、もはや常識だ(19年10月26日付日記:「ウイグル弾圧の監視カメラ、顔認証の凶器企業などをアメリカが禁輸リストに;その驚くべき運用」
https://plaza.rakuten.co.jp/libpubli2/diary/201910260000/、及び18年1月7日付日記:「1億7000万台もの街頭などの監視カメラが全国民14億人を顔認証で個人特定して監視するスターリニスト中国の恐怖」
https://plaza.rakuten.co.jp/libpubli2/diary/201801070000/などを参照)。しかし、その個人情報が、外国の国民にまで及んでいるとすれば、穏やかではない(写真=街頭に鈴なりの監視カメラと顔データ収集)。
◎日常的なサイバー攻撃で個人情報を集めているスターリニスト中国
前記の国家防諜安全保障センターの前長官の証言は、毎日のようにスターリニスト中国から仕掛けられているサイバー攻撃によるデータ窃盗で蓄積されたものを想定すれば、相当にありそうな話である。
例えば今春でも、マイクロソフトの電子メールソフトを利用している3万ものユーザーが攻撃され、データを盗まれた。スターリニスト中国政府の関与が疑われている。
過去にさかのぼれば、2015年にはアメリカ人事管理局や民間健康保険大手のアンセムから数千万人規模の機微な情報が盗まれた。17年には、信用情報大手エクイファクス、18年には大手ホテルチェーンの顧客情報が盗まれている。おそらくスターリニスト中国の仕業であろう。
◎米英豪要人240万人分の個人情報を集めていたことが露見
昨年、ふとしたことからスターリニスト中国が収集している海外の個人情報の一端が明らかになった。スターリニスト中国政府に近い深圳の企業が管理する240万人分の個人情報データがアメリカの研究者にリークされたのだ。アメリカ、イギリス、オーストラリアの政府、軍、企業要人とその家族の、非公開を含む詳細な個人情報が蓄積されていた。
それは、スターリニスト中国が国内でやっていることを海外要人に適用していることを示す。国内では、前記の街頭の監視カメラによる行動の追跡も含めて、戸籍、指紋、公安情報、SNS上の言動やネット・リアルでの購買情報などを連携させた膨大な個人情報データベースを作り上げている。
外国要人のこうしたデータベースがあれば、金銭問題や女性問題、その他他人に知られたくない秘密を抱えた人物ににじり寄り、脅迫や懐柔、買収を行うことも可能だ。そしてさらに重要な国家・軍・企業の機密を奪え、場合によってはエージェント(代理人)に仕立て上げることもできる。
◎AI利用のプロパガンダも発信
さらにスターリニスト中国は、プロパガンダのAI利用を深化させている。フェイクニュースを流して、自国に有利なような世論操作は、すでに始まっている。
そのうちAIは自ら学習を積み重ねて、自動操縦型のプロパガンダすら完成させるだろう。一見すると無関係で中立のように見えても、その実は、自国に有利に、そして海外政府の政策を貶めるような無限のプロパガンダの洪水が、ネットやさらには大手マスコミ、テレビ画面にも溢れるかもしれない。
ジョージ・オーウェルが生きていたら、もっと恐ろしい『1984年』最新版を書いただろう。
注 容量制限をオーバーしているため、読者の皆様方にまことに申し訳ありませんが、本日記に写真を掲載できません。
写真をご覧になりたい方は、お手数ですが、
https://plaza.rakuten.co.jp/libpubli2/diary/202111200000/をクリックし、楽天ブログに飛んでいただければ、写真を見ることができます。
昨年の今日の日記:「『幻の魚』巨大淡水魚イトウ、生息は7河川、数は2000尾ほどか、北海道大グループの環境DNA調査で判明」
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