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2021年10月27日05:57

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忍び寄る新しいインフレ=greenflation(グリーンフレーション)の足音が聞こえる

 「グリーンフレーション」という言葉をご存じだろうか。
 まだ一般化しておらず、経済学者の一部で話題になっているくらいだ。
 「グリーン(green)」と「インフレーション(inflation)」をくっつけた造語だ。グリーン、つまり環境対策がもたらす物価上昇、インフレという意味だ(図)。

◎先進国で悪玉とされる石炭
 現在、欧米諸国の一部では、ひょっとすると史上初めてのグリーンフレーションの入口に入っているかもしれないのだ。
 今年になって、ヨーロッパで天然ガス価格が急騰していることは、過去に本ブログで何度か言及した。国際関係を含めて原因はいろいろあるが、にわかに高まっている地球温暖化に対する対策としての二酸化炭素排出制限=脱炭素が大きくきいている。
 まず昨年辺りから、石炭を使用する火力発電に対する風当たりが強くなった。先進国では、もはや石炭専焼の火力発電所は建設できなくなったし、途上国へのプラント・技術輸出もできなくなった。既存の石炭専焼の火発も、古い施設を中心に閉鎖の動きが強まっている。

◎途上国ではなお需要強く、価格は上昇し、天然ガスの需要が強含む
 つまり火発向け石炭に逆風が猛烈に強くなっている。すると、発電向け石炭は開発ができなくなっている。
 しかし途上国では、安価な石炭需要はまだ大きい。先進国に比べて途上国の石炭消費量は圧倒的に大きいから、世界的に見ると石炭需要はさほど落ちていない。それなのに、いち早く石炭の供給が細くなってきた。そこで、発電向け石炭価格が上がった。
 代わって需要が高まったのが、二酸化炭素排出量がカロリー当たり石炭の半分ちょっとの天然ガスである。一大産地のプーチン政権のロシアの思惑もあり、需要増と供給不安が強まり、ヨーロッパでの天然ガス価格が急騰し出したのだ(写真=夜のヨーロッパを明るく彩る。多くは天然ガス発電による)。
 そして、それは原油価格も刺激した。今や原油先物価格は、直近で一時1バレル=84ドルを超え、7年ぶりの高値だ。

◎農産物価格も上昇、インフレの波が湧き上がる
 これが、日本ではガソリン、灯油価格の値上がりとなって家計を直撃している。
 資源価格だけではない。武漢肺炎後の経済回復を先取りする形で、様々な国際農産物価格が上昇を始めているのだ。
 コムギ、トウモロコシ、コーヒーなど、すべて騰勢を強めている。家庭向けのパンやレギュラーコーヒーも、上がっている。
 デフレマインドの染みついた日本ではそれほどではないが、アメリカでは消費者物価上昇率はずっと5%台だ。イギリスも同様で、8月の物価上昇率は3.2%と、ヘビが鎌首をもたげたように高くなっている。
 世界は長い間、低インフレの平穏に浸っていた。
 そこに、活を入れたのが、世界的な脱炭素機運である。
 2022年は、グリーンフレーションの言葉を頻繁に聞くことになるような気がする。

注 容量制限をオーバーしているため、読者の皆様方にまことに申し訳ありませんが、本日記に写真を掲載できません。
 写真をご覧になりたい方は、お手数ですが、https://plaza.rakuten.co.jp/libpubli2/diary/202110270000/をクリックし、楽天ブログに飛んでいただければ、写真を見ることができます。

昨年の今日の日記:「1世紀後に地球に衝突する危惧のある小惑星『ベンヌ』にNASAの探査『オシリス・レックス』が着陸、サンプル採取に成功」https://plaza.rakuten.co.jp/libpubli2/diary/202010270000/

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