昨晩は、NHKの総合テレビで『ねほりんぱほりん』を見てました。
ご存知の方もいらっしゃるでしょうが、この番組は、モグラ(のパペット)になった山里亮太とYOUが顔出しNGのゲスト(豚のパペット)から根掘り葉掘り話を聴き出す人形劇赤裸々トークショーで、昨晩の回では、「ライバー」を取り扱っていました。
まぁ、この番組で取り扱われる対象は、顔だしNGであるだけに毎回興味深いのですが、そちらの方は、NHKオンデマンド等の動画の方にお任せして、ここでは、同番組が人形劇の手法を採っていることに注目したいと思います。
思えば、昔は優れた人形劇が、今よりはるかに身近にあったような気がします。
私の場合、ものごころ付いた頃には、既に『ひょっこりひょうたん島』が始まっていましたし、それが終了すると、『空中都市008(ゼロゼロエイト)』が始まり、教育テレビでも、今日着ぐるみで演じられている番組に類似した番組の多くは人形によって演じられていたように思います。
当時は日本だけでなくアメリカも人形劇を活用していたようで、『サンダーバード』『キャプテン・スカーレット』等の番組が作られ、これらは日本の民放でも放送されていたものでした。
・『ひょっこりひょうたん島』:
https://www.youtube.com/watch?v=wflC6dEflew
声優に注目すると『ルパン3世』の峰不二子の声だった増山江威子さんも既に出ています。
・『空中都市008』:
https://www.youtube.com/watch?v=lzjFQoHb0pc
これは、どうも後掲の『サンダーバード』や『キャプテン・スカーレット』の影響が大きいというか、パクリっぽいところもありましたが、未来というものに明るいイメージがあった当時は無邪気に楽しんでいたものでした。
・『サンダーバード』:
https://www.youtube.com/watch?v=3to1JUtIrrc
1号から5号までのプラモデルを作って遊んだものでした。作った後で、4号が一番大きいことに気付いて、子ども心に悩んだものでした(笑)
・『キャプテン・スカーレット』:
https://www.youtube.com/watch?v=bV8YbLvGrb0
哲学的な難しさを秘めた作品らしいですが、当時はそんなことにはお構いなく、かっこいいメカに夢中になってました。
・また、米国で毎年クリスマスシーズンに放送されていたこちらの動画も人形劇を応用したものといえるでしょう:
https://www.youtube.com/watch?v=BVAc0FJdYoA
フレッド・アステアがポストマンの声を担当しています。
終りに出てくるスタッフロールには、日本人らしき名前も出てきます(ナガシマキゾー)。
・外国作品では、子供向け番組の『セサミ・ストリート』では、(全編パペットばかりが登場するわけではありませんが、)パペットが大活躍しました。私はとくにアーニーとバートが好きでした:
https://www.youtube.com/watch?v=xONikEykMaU
一方、日本では人評劇ドラマの金字塔とも言うべき作品が登場します。『新八犬伝』と『人形劇 三国志』です。
・『新八犬伝』:
https://www.youtube.com/watch?v=auimuI1Pklk
動画でも説明されているように、30パーセントもの驚異的視聴率を取っただけのことはあり、人形の造形や動きには素晴らしいものがありました。作品の面白さ、坂本九の名調子も加わって、最も楽しめた人形劇でした。
辻村寿サブロー作品としては、『真田十勇士』も優れた作品だったようですが、既に中学生になって部活動に明け暮れていた私はほとんど見ることができませんでした。
・『人形劇 三国志』:
https://www.youtube.com/watch?v=J6Q3IGIcZKY
こちらの人形は、川本喜八郎さんが担当されていましたが、やはり造形が素晴らしく、『三国志』を本で読んだ後でも、登場人物の名を聞くと、最初に思い浮かぶのはその人の肖像画ではなく、この番組に出てきた人形の方だったりします。
ちなみに川本さん自身は、曹操が好きだったそうです。
ところで、これらの作品に出てくるパペットは、どれも人形ですから、その動きはどこかぎこちないものです(動きがある動画ばかりをアップしたのもそのためです)。もしかしたら、今はこうした点は一種の「キズ」として認識されてしまうのかもしれません。
でも、昔はそうしたぎこちなさは都合よく想像で消されたようなところがあったのではないかという気がします。
例えば、子どもの頃、欲しい車(の玩具)などを何かで代用したことはなかったでしょうか? ちょっとでも本物に似たところがあれば、それを本物に見立てて遊んだということはなかったでしょうか? そのときの想像の世界では、一瞬でも本物で遊んでいるような気持にはならなかったでしょうか? もとより本物ではないですから、現実に戻れば(夢、想像から覚めれば)がっかりはするのですが、でもそうした想像に浸れた時間は貴重なものだったはずです。
逆に、本物が手に入った場合には、こうした想像の楽しみは失われてしまうことが多かったのではないでしょうか?
人形劇の世界に特有のぎこちなさというものは、こうした想像を生み出すところもあるのではないかと感じます。
パペットが作り出す世界は、アニメではないという意味では、確かに実写ではあるのですが、でも人間そのものを描いた実写かというと、そうとも言い切れないわけで、そこを人間に近付けて想像で補おうとするところにファンタジーが生まれるのではないか、そんな気がします。
最近、『ねほりんぱほりん』くらいでしか、全編人形劇といった番組が見られなくなったのも、世の中が変に現実的過ぎるほど現実的になり、ファンタジーの世界に遊ぶ余裕を失ってしまったからではないか、そんな危機感を覚えてしまいます。
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