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2021年08月06日02:13

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武満徹さんの名(迷)言

 今日は広島原爆忌です。
 広島、原爆というと、前回触れた現代音楽のなかでは、ペンデレツキという人が作曲したこの曲が比較的知られています。
https://www.youtube.com/watch?v=Pu371CDZ0ws

「広島の犠牲者に捧げる哀歌」というタイトルまで付いていて、いかにもそれらしい印象を受けるとも言えますが、でも、この曲は、作曲当初から反戦メッセージとして構想されたわけでは全くないそうです。
 どうやら、実際の演奏を聴いた作曲者が、連想される事柄を探し求めた結果、広島の原爆犠牲者に捧げることが最も相応しいと感じて、このタイトルになったようです。平たく言えば、「後付け」だったというわけです。
 まぁ「広島の犠牲者に捧げる哀歌」は、いかにも現代音楽というのか、ある種のとっつきの悪さが感じられるのですが、そこへいくと、同じ現代音楽の作曲家でも、武満徹さんが遺した「ヒロシマという名の少年」という作品は聴きやすいです。
https://www.youtube.com/watch?v=M8RVzF_myio

 この曲は、元々、同名の短編映画の付随音楽であったらしく、この映画についてネットでは次のような寸評がありました:広島に原爆が落とされてから38年後、一人の少年が1日だけの命を授かって誕生する。ヒロシマという名のその少年は母を探しに街へ出てある少女と出会う……。少年を過去、少女を現在に置き換え、原爆で亡くなった少年たちをひと目母親に会わせてあげたいという気持ちから作られた、自主製作の短編映画
 ところで、武満さんは、「ヒロシマという名の少年」のような聴きやすい作品ばかり作っていたわけではないですが、ただこの人はトラキチ(阪神タイガースのファン)であったそうで、こんな話が遺っています。
 ある時、武満さんは、同じ現代音楽の作曲家仲間数人とともに呑みに行ったことがあったそうです。
 現代音楽の作曲家ばかりですから、当然話題は音楽の話が中心となったのですが、ふとしたことから、プロ野球の話になり、それぞれどの球団が好きかが分かってきました。
 その結果、武満さんだけが阪神ファンで、あとはみんなジャイアンツのファンだということが判明しました。
 武満さんは余程この結果が面白くなかったらしく、酔うほどに、「おまえら、現代音楽をやっているくせに、巨人ファンというのは矛盾している!」などと、全然論理的ではないのに妙に説得力のあることを言い出して、仲間たちは困ったということです。
 まぁ、武満さんの気持ちを汲めば、現代音楽というウルトラマイナーな世界の住人がジャイアンツというウルトラメジャーな球団のファンということが許せなかったということなんでしょうが、でも世界の巨匠にこんな一面もあったのかと思うと、ちょっとホッとしませんか?
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