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2021年06月17日18:22

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三十九 「道中」

てくてく、ざくざく、切り取り切り取り。てくてく、ざくざく、切り取り切り取り。

袋がいっぱいになったらサートリに渡す。

弱い魔霊しかいなく単調な作業をしているみたいだ。

だが路銀の為僕は続ける。

この道を行けば国境近くの街に着くはずだ。

確か「フレアレイス」という名前だったかな?

宝石にしておいた財産が一気に無くったのは別にいいが、ここら辺弱いのだらけだな。

宿代とご飯代くらい稼ぎたい。

あ、魔石を持つ魔霊カーバンクル!コイツは高いぞ。

僕はナイフを投げ一撃で仕留める。これぐらい集めたらサートリに良い食事と部屋を用意出来る!

僕はサートリを呼ぼうとして周りを確認する。人の気配はないがうかつに名前を呼ばない方が良いのだろうか?森から道の方へ移動し、



「ちょっと降りてきて!」



「は、い」



サートリがふわふわ降りてくる。その両手は魔霊の戦利品入りの袋でいっぱいになっている。



「魔石を持つ魔霊カーバンクルの魔石を手に入れたよ。これで戦利品集めはいったん終わりだ。空を飛んでて街は見えたかい?」



サートリは袋を抱えたまま道の先の方を向くと、



「もう、しば、ら、く、歩く、と見えて、くる、と、思う」



そう言って僕の方を見る。浮いて移動していたので疲れは見えない。

僕も疲れてないけどちゃんと宿に着いたら疲れを取らないとなぁ。

戦利品の魔石を袋に入れ、



「じゃあ行こうかサートリ」



「うん」



サートリが嬉しそうにうなずき一緒に歩きだす。

戦利品袋がふわふわ浮いている。サートリが浮いている様子はない。

魔法具をいじったのか?

面白い。そんな事も出来るのか。

新発見に心を躍らせながら僕達は街へと向かって行った。
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