mixiユーザー(id:9223835)

2021年04月20日12:11

157 view

4月14日 浅草演芸ホール中席昼の部 真打昇進披露目 主任 春風亭柳枝

●映画「街の上で」を鑑賞。見事に大人(精神年齢的に)が一人も出てこない映画。物語らしい物語はなく、交わされる会話も着地点が見えないままグダグダ続くのだが、そんな中にも微妙な緊張感があり目が離せない。●恋愛メインのフワフワした展開にも落とし穴的な仕掛けはあって、空気を読まず、その結果いたたまれない状況に陥ったり、意外にも他者から共感を得られたかと思えば、思わぬ修羅場に立たされたり・・・。最後の最後にもたらされる、ささやかだが主人公にちょうどよいサイズの幸福に、見ているこちらも心が温かくなる。●若い役者誰もが正しく等身大の役柄になり切っていて、特に主人公・青を演じる若葉竜也と、素っ気ない関西弁の中田青渚がチャーミング。若葉は大衆演劇出身という異色な経歴。「令和元年版牡丹灯籠」の若侍役で記憶していたが、ここでは下北沢の古着屋店長に見える。人とコミュニケーションをとるのが下手で、じんわりマウントを取ろうとする学生映画監督役の萩原みのりも。イヤな女を演じられるのは、演技力あってこそ。●有り余る時間を持て余し、下北沢をふらふら歩いていたころを思い出す、そんな映画。



 落語協会の真打昇進披露目、今日の主任は正太郎改め柳枝。五人の内ではやはり柳枝が一番人気と聞いているが、この日は朝から雨模様で客足もいまひとつ。上手側前列に席を取ると、舞台袖に披露目番頭のぴっかり☆が法被を着て控えているのが見える。中入り後には芸協の昇也が法被を着て並んでいたような?

●前座 駒平「道灌」
 世之介の弟子。女子の噂ばかり聞こえていたが、男子もいるのね。

●伊織「四人癖」
「のめる(二人癖)」と同様「〇〇やっちゃダメ」系だが、あまり聞かない噺では。金翁から習ったそうだ。

●一之輔「桃太郎」
 中入り後から浅い出番に変えてきた。「大阪1000人超え! 東京も負けていられませんよ!」と、関西で急増した感染者数報道を受けて。おとっつあんの前半「つまらない桃太郎」言いだては、何気に可笑しい。

●漫才 ホンキートンク
 新しい相方になって初めて見た。見ていて慣れないせいかハラハラする。

●歌奴「宮戸川」
 霊岸島のおじさんは、何でも呑み込むから「うわばみ」。歌奴お得意ご祝儀バージョンで、今日はお花半七の間に生まれた男の子が成長して、後の九代目柳枝に。

●一朝「雑俳」
 今日は落協春風亭の流れを感じさせる顔付けとなっている。先代柳朝門下のほとんどが光琳蔦だが、この人は沢潟紋なのか。

●曲芸 仙志郎・仙成

●歌武蔵 相撲漫談
 コロナで在宅、運動不足、体重が増えて膝が悪化・・・。この人も喬太郎も気を付けて。

●玉の輔「つる」
つるは英語でクレーン(crane)と云うだろう・・・という件が入る改作。

●マジック 夢葉

●小八「噺家の夢」
 小三治入院→退院の報あり。先日NHKBSで小三治のドキュメンタリーを見たが、三三と三之助がお世話係と化していた。この人はどうも宙ぶらりんな印象。

●正朝「看板のピン」
 軽さ明るさと、この人と宮治の師匠・伸治の落語には通じるものがある。二人ともサッカー好きで、共に人気者を弟子に持つ師匠。伸治の宮治大好き♡に対して、こちらは柳枝にはクールに相対している様子。

●紙切り 正楽
 いろいろ切って最後に女性の声で「猫のひるね!」。出来上がった作品を取りに来たのは、連れの方に手をひかれた白杖の女性だった。

●正蔵「悋気の火の玉」
 本当に上等な羽織・・・もうそれにばっかり目がいってしまう。

●市馬「花筏」
 相撲中継の向こう正面では菊之丞とこの人をよく見かけるが、相撲の噺をこの人で聞くのは初めて。提灯やさんは相撲部屋の親方ではなく、ご隠居から代役を持ちかけられるのね。

<中入り>

●口上
 舞台下手から司会の玉の輔、正蔵、柳枝、正朝、さん喬、市馬
 今回の披露目、柳枝主任の日は雨続きだったとか。今日もあいにくの天候で開演時こそ30人程度だったが、中入り後はほぼ満席。柳枝の実家は目黒区柿の木坂。相当なお坊ちゃま育ちで、入門する時には父君の猛反対があったとか。師匠・正朝は「自分も兄弟子の小朝も前座名で昇進したが、一朝アニさんは朝太郎から変えているので、正太郎も昇進を機に新しい名前にと」。そこで協会預かりとなっていた名跡・柳枝を襲名させることになった。「師匠は昇進した弟子には何もしてはやれないが、弟子は成長して師匠の名を上げることができる」とさん喬の言葉。最後は会長・市馬の音頭で三本締め。

●漫才 ロケット団

●圓太郎「強情灸」
 口上が長引いたのか短めで下がる。

●さん喬「替わり目」
 この人で時間が調整された。夜の部が8時終演と決まっているから、寄席もタイトになる。

●浮世節 立花家橘之助

●正太郎改メ 九代目柳枝「佐々木政談」
 柳枝によると「雨男なのは自分ではなく師匠」。落語に真摯が過ぎて、大学卒業後も入門を躊躇っていたほどの正太郎が「なんで正朝師匠に」と小辰が云っていたが、つまりは明治学院大学落語研究会のOB。ミッション系で女子が多いイメージの学校だが、権太楼、小せんを輩出しているから、落語界に於いては学閥と云えるのでは。
 前座のころから出来上がっていたし、楽屋仕事についても怠りないようで、いつだったか喬太郎が楽屋のトイレで粗相をしてしまい「前座の正太郎さんが良く出来た子で、後片付けをしてくれた」と高座で褒めていた(粗相自体は大人としてはどうかと思うが)。独演会はもちろん、他の若手との会にも積極的で、師匠の謹慎さえなければ、もっと早く、大きく活動の場を広げていたはず。今回の披露目も芸協・宮治のそれと伍するほどの賑やかなものになっていたのでは・・・とも思う。
 本日の口上でのさん喬の言葉に依って考えるなら、柳枝は既に師匠に恩返し以上のことをしているんじゃないか。


2 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2021年04月>
    123
45678910
11121314151617
18192021222324
252627282930