mixiユーザー(id:9223835)

2021年01月10日23:00

92 view

1月6日 紀伊国屋ホール「春談春 お友達と共に」夜の部

 絵本作家せなけいこの展覧会に行った。会場は銀座松屋デパートの催事場。貼り絵のおばけが出てくる「ねないこだれだ」は、子供が幼いころによく読み聞かせた絵本だ。
 展示を見ていると、作品に添えられた解説文に「噺家と結婚して云々」と書かれている。スマホで調べると、せなけいこのご主人は先代の柳亭燕路(1991年没)だった。そういえば紙芝居や絵本に「ばけものつかい」「一眼国」など落語原作のものがあったかなと思いあたるが、全然知らなかった。ご子息は言語学者だそうで、言葉を操る両親の間に生まれたお子さんらしいといえるのかな。

 新宿プークの「新作落語お正月寄席」。
 例年正月3日は家人の実家へ年賀と決まっており、落語初めは2日にしていたが、今年は感染拡大もあり、年賀は取りやめに。ならば他の日でも良かったのだが、なんとなく決まりごとのように2日を予約してしまった。予約した後から出演者が発表され、2日のトリは圓丈。大丈夫かなと思っていたら、公演直前に休演が決まり代演が丈二になった。トリが白鳥の3日、喬太郎の5日は完売だが、2日と小ゑんの4日は余裕があったようだ。プークは椅子が悪いので、満席よりほどほどの入りの方が有難くはあるのだが。

 ●前座 ごはんつぶ「女子高生の設定」
 ●天歌「暴走族」
 ●ふう丈「アンテナボーイ」
 ●駒治「地下鉄戦国絵巻」
 ●圓歌「やかん工事中」
<中入り>
 ●百栄「フェルナンド」
 ●丈二「極道のバイト達」
 
 このところ前座はごはんつぶばかり。ぐんまが二つ目に上がり、前座さんがいなくなったからか。アサダ五世ことふう丈。観客を不安にさせまいと、師匠・圓丈の状態を「大丈夫ですから」と一生懸命説明してくれるのだが、聞けば聞くほど逆に心配になる。挨拶に出た清麿も「必ず圓丈師匠は高座に戻ってきます」と云っていたが、なににせよ体調に不安がある高齢の演者が感染リスクを考慮して寄席や落語会への出演は避けたと、そんな程度の話で良かったのになぁ。
 駒治の落語を聞いて、実家が京王線沿線の自分は、都営地下鉄陣営の人間だったのだと思い知らされる。学生時代も東京メトロの渋谷や表参道には縁もなく、神保町や新宿三丁目でウダウダしていた。だから古本、中古レコード漬けのダサ暗い青春だったのか!って、もっと早く気づけよ!! 

 6日夜は「春談春~お友達と共に」。
 紀伊国屋ホールほどの会場で談春が連続公演を行うとは、珍しいのではないか。昨年末からの止まらない感染拡大と、日替わりゲストを呼ぶにしても5,000円は高いという判断なのか、これも談春の会にしては珍しく、日によってはチケットが売れ残っていたようだ。談春2席、ゲスト1席で、ほぼこはる付き5,000円が高いかどうかは正直分からないが、志の輔らくご7,200円より安いんじゃない?と思い、久しぶりに談春の落語を聞きに行く。
 この日は正太郎と宮治の若手が出る昼公演もあり、談春が「小猿七之助」をネタ出ししていたが、そちらは既に完売。同じ日、志の輔がコロナではないが肺炎を患い、パルコ志の輔らくごを全公演中止にしたとのニュースが入ってきた。

 ●談春「唖の釣り」
 ●吉坊「ツメ人情」
<中入り>
 ●文菊「稽古屋」
 ●談春「夢金」

 開演前、場内が暗くなり非常灯も消えて、ああこの感じが談春の会だ。音を立てようものなら周囲から睨まれる、入り口で「半券が破けた」ともぎりを怒鳴る客がいる・・・が、それももう昔の話。登場した談春からも、男女比率半々くらいの客席からも緊張は感じられず、和やかに始まった。
 緊急事態宣言発令するも、今回劇場は休業対象外だったが、世間の流れは夜8時以降は自粛「この公演は(終演が)夜八時以降になってもやるって(主催が)言ってますからね」。
 談春の「お友達」といえば福田和也やさだまさしといった文化人系が思い浮かぶが、今回の「お友達」は全員落語家。「というのも、同業者に自分の落語を聞いてもらいたくなったから」。聞いてもらって褒めるにせよ貶すにせよ、こんなふうに演じているのだと見てもらいたくなったんだそうだ。後輩集めて寄席ごっこをするなら、(こはる以外の)弟子をちゃんと育てて、一門会すればいいのにとも思うのだが。
 ゲストの吉坊、文菊については「(自分には)出来ない落語をする人たち」。呼ばれた側の吉坊は困惑気味に「・・・お友達なんですかね? よほど(上方に)お友達がいないんじゃないかと(笑)」。演じたのは小佐田定雄が吉坊にあてて書いた新作落語。文楽の人形遣いが主人公の人情(情を施すのは人ではないのだが)もの。面白い噺なのだが、新作だけにサゲがわかりにくく、フライング拍手が起こっていた。
 文菊は相変わらずの自虐から本領の「稽古屋」。自分は晩年の圓菊しか知らないが、弟子の中ではこの人が一番持ち味が師匠に近いような気がする。同じ演目でも夢丸が演じれば、かなり壊れた噺になる。それはそれで面白いが、品と滑稽味が絶妙なバランスなのが文菊の優れたところだ。
 攻める若手を受ける談春。与太郎もので笑わせた後は、ここ数日の寒波で余計に身に染みる「夢金」。談春に限らずそうだが、チケットが取りずらくなり、「さあ聞くぞ」というテンションの観客が大勢をしめるようになると、気軽に楽しめなくなって足が遠ざかる。この日も多くはコアなファンだったろうが、客席も談春本人も、「尖った」より「こなれた」雰囲気になったように感じられた。まあ、それくらい久しぶりに聞いたということか。

 


1 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2021年01月>
     12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
31