『魔女がいっぱい』
<ストーリー>
1968年ある黒人少年が事故で両親を失う。祖母に引き取られた少年はやがて祖母の底抜けの明るさに救われていくがそんなある日、謎の女性にキャンデーを勧められる。祖母はそれが子供を狙う魔女だと知ってホテルに避難するのだが、そのホテルこそ魔女達の首魁の場所だった・・・
<コメント>
ロアルダ・ダールの原作がティム・バートンやロバート・ゼメキスなどに好かれるのはなぜかというと、子供向きの愉快な物語でありながら、その背景にとても残酷で悪趣味さが隠されているからではないかと思う。
この作品においても冒頭から少年の両親の事故死から失意に沈む少年が祖母によって立ち直るまでがかなり尺を使って描かれる。これは『チャーリーとチョコレート工場』における主人公の貧しさが延々と描かれていたのに通じるところがあるように感じる。
さて、物語の後半は魔女に狙われた少年が祖母と魔女から逃げるために泊まったホテルで偶然魔女の集会が行われることが判り、そこで少年は魔女達の恐ろしい計画を知ってしまう。
この辺りで物語が一変し、これまで運命に翻弄されていた少年が最悪の運命と向き合った後で仲間たちと意外な活躍を見せてくれる。この下りはまるでディズニーのアニメのようだけれども、逆襲の描写がかなり爽快であるのだけれども、同時に悪趣味であるところがさすがにダールの原作。
そして冒頭から物語を語っていた人物の正体が明らかになるくだりも実にショッキングであり、一筋縄ではいかない不気味な童話であることが判る。それこそディズニーアニメのように見終わってハッピーといかないけれどもその分しっかりと心に残る作品であると言える。
魔女がいっぱい
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