どっち、どっち、どっち？

いきなりですが、かの有名な「ロミオとジュリエット」
長生きしたのはどちらでしょうか？

え〜と…
ロミオはたしかジュリエットが薬によって偽装死したのを知らず、悲しみのあまり後を追って自害するはず。
でもわずか数分後に覚醒したジュリエットはロミオの亡骸を見て全てを悟り、すぐ後を追うわけだから…そうだ、僅差とはいえ長生きしたのはジュリエットだ！

いいえ、違います。
正解はロミオです。

えええ！
何故だ？

お答えしましょう。
それはロミオの方が年上だったからです。

学童で働いていた時、子供を送っていく帰り道でよくクイズをせがまれた。
それでこのクイズをするためにロミオとジュリエットの話をかいつまんでしたことがある。

それでもいくらか長い話。
家が近い子は最後まで聞く前に家に着いてしまう。
するとその子達は続きが知りたいのか、クイズがしたいのか、自宅の近くの信号無視(笑)して、並木の植え込みの縁石に腰掛け、「それから？」と最後まで話を聞きたがった。
私はいくぶん早口ながら市原悦子よろしく話して聞かせたあと聞いたものだ。

「さあ、長生きしたのはどっち？」

高齢者と言われる年齢になると、嫌でも自分は後何年生きられるのだろうかと考えるようになる。
主人と私のどちらが先に逝き、どちらが遺されるかということも。
その両方を想定しておかなければならない時期がきているのだが、どうもまだピンとこない。
どうしても問題をどんどん先送りしてしまう。

長生きのリスクを思うと長生きはしたくないと言いながら「長生き」と言われる年齢まで、もうそんなに時間は残されていないと思うと「いや、あの、その…元気だったら、もちょっと…」と口ごもり始める。

あまつさえ主人は「心配しなくてもお前の方が俺より長生きする」と、私より長生きするつもりでいるくせに、そうのたまう。

夫婦でも微かな競争意識があるような、ないような…

そりゃあ私はあなたよりわがままです。
お花畑の中で生きています。
能天気です。
だから長生きできる可能性はあなたよりあるでしょう。
でもね、私はあなたより２歳歳下。

私はあなたの死後2年生きても「タイ」
それ以上生きて初めてあなたより長生きしたことになるのよっ

私があなたより長生きするかどうかは、あなたにだけは永遠にわからないこのクイズ。

さあ、長生きするのはどっち？