先週の3連休の1日、ターミナル駅のデパート上階のレストランに行った。
驚いた。僕の行った店のフロアで2軒も閉店していたのだ。そのうちの1つは、僕も何度か行った店で、店長とはなじみだった。
先の4月〜5月の長期休業、そしてまた武漢肺炎の再燃で、デパート上階という最高の立地は、今やレストランにとって高い家賃を支払えないリスキーな場所になった。そこの店員さんたちは、どうしたのだろうか、と気になった。
◎流行前の血液に武漢肺炎ウイルスを攻撃するT細胞
さて、政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会は21日、6月以降の感染再拡大が「全国的に見れば、7月27〜29日にピークに達した」という見解を発表した。ピーク越えなら、これから感染者数は徐々に減ってくることが期待される。
この他、最近では海外の研究機関から、武漢肺炎ウイルス、すなわち新型コロナ肺炎ウイルスを過度に恐れないで良いかもしれない研究成果が出されている。
スウェーデンのカロリンスカ研究所(写真)などの研究者が権威ある生化学誌『セル』に発表したところによると、武漢肺炎流行前の2019年に採血した25人の血液を調べ7人(28%)から武漢肺炎ウイルスを攻撃するT細胞を見つけたという。
T細胞は、かつてウイルスや細菌などの異物が体内に入った時、その「記憶」に基づいて異物攻撃のために作られ、増える。
◎欧米各地で流行前の人血からT細胞が見つかる
28%の人たちは、武漢肺炎ウイルスに感染していない。
この例は、カロリンスカ研究所の特殊事例ではなく、オランダのエラスムス医療センター、アメリカのラホヤ免疫研究所なども、武漢肺炎流行前のヒトの血液から武漢肺炎ウイルスを攻撃するT細胞を見つけている。
これは、なぜなのか?
武漢肺炎ウイルス、すなわち新型コロナウイルスの他に、コロナウイルス(写真)に分類されるウイルスは、全部で6種類がヒトに感染することが知られている。うち4種類は、感染しても軽い風邪程度で済むもので、各種インフルエンザウイルスよりもずっと毒性は弱い。
◎「交差免疫」、インフルエンザでもよくあること
あとの2つがSARSとMERSで、重症の肺炎を引き起こす。しかしこの2つは、強毒性のためにかえって蔓延できず、世界的に拡大できないうちにほぼ消えた(どこかに潜んでいるかもしれないが)。
だから大した悪さをしない4種のコロナウイルスにかつてかかったことの記憶が、武漢肺炎ウイルスを攻撃するT細胞を作っていた、と考えられる。これを、「交差免疫」という。
交差免疫は、インフルエンザでもよくある。ある型のインフルエンザウイルスが流行しても、以前に別の型のウイルスにかかっていれば、感染しないか、かかっても軽症で済む。またインフルエンザワクチンは、発生・流行前に型を予測して大量生産するが、流行した時は別の型のこともある。それでも型外れのワクチンでも、接種しておけば感染しても軽症で済むことが多い。
◎軽い風邪で交差免疫獲得か
こうした複数の研究成果から、ラホヤ免疫研究所の研究チームは、武漢肺炎ウイルスに感染したことがない人でも、2〜5割はあらかじめT細胞を持っている可能性がある、と指摘している。
交差免疫の効果は、10年以上もの長期に及ぶようだ。シンガポールのデュークNUS医学校の研究チームによると、2003年に流行したSARSに感染し、首尾良く回復した23人が持つT細胞を調べると、このT細胞は武漢肺炎ウイルスをも排除する働きを示したという。
SARSは怖いけれど、4種の「軽い風邪程度」のコロナウイルスにかかったことのある人はけっこういるはずだ。それらの人は、知らないうちに交差免疫を獲得している可能性が高い。
◎完全に予防はできないが、交差免疫獲得者は感染しても軽症で済むか
ただT細胞の免疫だけでは、武漢肺炎ウイルスの感染を完全に防ぐことはできないようだ。それでも感染しても、重症化を防ぎ、回復を早める効果はある。これらの報告は朗報と言える。
例えば素人考えだが、ワクチンが実用化されるまで、前記4種のコロナウイルスをワクチン代わりに接種するのはどうなのか。医師やマスコミは、猛反対するだろうけれど。
武漢肺炎ワクチンがまだ実用化していない現在、交差免疫に期待するしかない。
注 容量制限をオーバーしているため、読者の皆様方にまことに申し訳ありませんが、本日記に写真を掲載できません。
写真をご覧になりたい方は、お手数ですが、
https://plaza.rakuten.co.jp/libpubli2/diary/202008300000/をクリックし、楽天ブログに飛んでいただければ、写真を見ることができます。
昨年の今日の日記:「極北の核惨事:ロシアの北極海沿岸で核事故、原子力推進式巡航ミサイル『スカイフォール』爆発か」
追記 政府は8月28日、武漢肺炎ワクチンを国民全員分を確保することなどを決めた。来年前半までに確保し、全国民への接種を目指す。公費負担の予定だ。
ログインしてコメントを確認・投稿する