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2020年08月26日05:52

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北アルプスなど本州高山の野草ハクサンコザクラは北方の遺存種ではなく、ここからはるかアラスカまで分布を広げた

 北海道の低山や南樺太のワイルドフラワー群落地を歩いたが、エゾコザクラという花は見たことがない。

◎北アルプスなどの高山植物ハクサンコザクラ
 本州の北アルプスなどの高山帯ではハクサンコザクラという亜種が知られている。
 いずれも7、8月に雪渓そばで小さなピンクの花を咲かす美しい花だ(写真)。
 ちなみにこの花を調べようと、ウィキペディアを探すと、エゾコザクラからハクサンコザクラに転送され、ハクサンコザクラで解説があった。それによると、「母種はエゾコザクラ」となっている。つまり通説のように、エゾコザクラが本州の山岳部に取り残された亜種、という位置づけだ。
 ところがその通説を覆した若手植物学者がいる。岡山大学資源植物科学研究所の池田啓(はじめ)准教授だ(写真)。

◎ゲノム解析でハクサンコザクラがアラスカまで分布広げたことを解明
 日経新聞8月14日付の科学欄「かがくアゴラ」に、池田氏とエゾコザクラ追跡の物語を掲載されている。地味だが、こうした研究を地方大学で地道に発展させていることに感動した。
 エゾコザクラは、北海道から、カムチャツカ半島(写真=カムチャツカ半島のワイルドフラワー)、アリューシャン列島、そしてアラスカまで北米に至る寒冷地に分布するが、池田氏は、そのエゾコザクラのゲノムを解析した。
 その結果、本州のハクサンコザクラがいちぶん古い亜種で、北に行くほど新しく分岐したものであることが分かった。
 ゲノムの変異から、ハクサンコザクラは最終氷期(7.5万〜1.15万年前)にカムチャツカ半島まで北上し、氷期が終わって温暖になると、一気にアラスカにまで分布を広げたことが分かった。
 定説と逆だったわけだ。

◎山好き高校生が植物学の道へ入って
 池田氏は、高校生の頃に山登りを始め、そこで出合った高山植物の美しさに純粋に感動し、植物学の道に入ったという。
 日本では高山植物は、約450種が生育している。大部分は北方の種と同一の種に属する亜種である。そうした約450種は、後氷期になって本州や北海道の高山に取り残された北方の種の遺存種と考えられている。
 しかしハクサンコザクラの例のように、氷河期から温暖な後氷期になって北方に分布を広げた高山植物もまだあるのではないか――池田氏はそう考えている。

注 容量制限をオーバーしているため、読者の皆様方にまことに申し訳ありませんが、本日記に写真を掲載できません。
 写真をご覧になりたい方は、お手数ですが、https://plaza.rakuten.co.jp/libpubli2/diary/202008260000/をクリックし、楽天ブログに飛んでいただければ、写真を見ることができます。

昨年の今日の日記:「独裁カンボジアの農村ではびこるマイクロファイナンスの過剰融資地獄」

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