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2020年07月18日08:35

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『 アンサング・シンデレラ 』


原さとみが病院薬剤師を演じる医療ドラマ『 アンサング・シンデレラ 病院薬剤師の処方箋 』が7月16日からスタートしたので、第一話を観た。全体的に重い雰囲気なのは、主人公・葵みどり(石原さとみ)をはじめとする病院薬剤師達の物語だからだろう。病院組織は医師を頂点とする厳然たる階級社会で、病院薬剤師はそのピラミッドの底辺に近い存在らしい。医療ドラマの大部分は当然、その花形たる医師や看護師を取り上げているが、診療放射線技師を主人公にした『 ラジエーションハウス 』のように病院機能を陰で支える技術専門職のドラマも近年、作られるようになっていて興味深い。

 第一話では、配属された新人薬剤師・相原くるみ(西野七瀬)を薬剤部長・販田聡子(真矢みき)が病院内を案内する短いシークエンスで、病院組織における病院薬剤師のポジションと役割を簡潔に説明したのは巧い。一般人にとって薬剤師は「 処方箋に従って薬を出しているだけ 」という認識しかないはずだが、病院薬剤師に課せられた職務がかくも多岐にわたり、患者の安全のために重要なものだったとは思いもしなかった。特に、処方内容(処方箋)の用法容量が誤っていないかを薬剤師が医師に確認する「疑義照会 」のうち、7割は再処方、つまり、最初の処方が間違っているという情報は驚きだった。薬剤師は医師の処方をダブルチェックする「 最後の関門 」なのだ。

 登場する病院薬剤師達が一癖も二癖もあるキャラであることも案外、リアリティがあるのではないかと感じた。いつもは有能で自信家のキャラを演じることの多い石原さとみや真矢みきが珍しく「 控えめなキャラ 」を演じていることも大きな理由だ。最初から薬剤師を職業として選んだ人もいれば、医師を目指しながら諸事情によって薬剤師になった人も存在するはずだからだ。薬剤部副部長で葵みどりの指導係だった瀬野章吾(田中圭)が「 医師の判断を何よりも尊重する 」ことや、同じく副部長・七尾拓(池田鉄洋)が「 間違えるな。薬剤師が患者を治すんじゃない、治すのは薬だ!」と事あるごとに強調するのは、長いキャリアの中で病院組織における薬剤師の弱い立場を痛いほど味わってきたためと思う。優秀であるがゆえに、彼らは同じ医療従事者として薬剤師の立場や待遇にやり切れなさを感じているのではなかろうか。物語に登場するベテラン薬剤師達の言動から、彼らの鬱屈した心中が伺えるようだ。今後の展開が楽しみである。

 ちなみに、「アンサング」とは称賛されない、という意味で、アンサング・シンデレラはいくら頑張っても褒められることのない病院薬剤師・葵みどりのことを指している。
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