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2020年06月09日17:13

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読了2冊/朝井まかて

「福袋」
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カバー装画:白浜美千代
短編8編
・ぞっこん:語り手は「筆」! 名人に遣われた後、
名人を目指す者の手に渡り大切にされ、やっと引退? いやいや…
人間を育てるのは良い「道具」なのかも。

・千両役者:大部屋にくすぶる役者が叶えた夢は?

・晴れ湯:「お晴」はウチの商売「松乃湯」が大好き。
今日も三助稼業で常連さんに喜ばれている。

・莫連あやめ:古着屋の「あやめ」と親友「おその」の窮地を救ったのは
気に入らない兄嫁だったが…

・福袋:出戻りの姉はとてつもない大喰らい。
佐平はそれを活かしてひと儲けを企んだ。

・暮れ花火:「およう」の描いた春画に惚れ込んだ芸妓「美代次」が
持ち込んだ仕事は…

・後の祭:「徳兵衛」が引き当ててしまった「お祭掛」。
附祭の工夫に力を貸してくれたのは、ろくでなしの店子「平吉」だった。
 
・ひってん:「寅次」と「卯吉」が助けた男が、礼にと置いていった物が
2人の人生を分けた。


朝井さんを読了して、幾度この感想を呟いた事だろう?
「面白くないわけじゃぁナイんだけど…」
「素材はイイんだけどねぇ〜」

その短編と波長が合う作家は、長編でも絶対相性がイイ!
と、ずっと思って来たけれど、
長編とピッタリとは合わない、読み心地の悪さを感じる作家は、
短編だと、違和感は凝縮され増大するようだ。

短編って、
作家が投げる言葉、それがド真ん中剛速球や超変化球でも
読み慣れた読者はミットのド真ん中でバシッっと受ける
その妙味だと思う。
が、なんだか朝井さんの言葉は、私には球筋が見得て来ず、
投げられる場所を読み切れず、時にハズしてしまうことも。
ん〜〜 しっくりしない…
決して、読後感が「悪い」というのではなく、
(むしろ「悪い」なら、その悪さを愉しめる作家も居るのよね。)
物語の結末が、個人的に、おさまりが悪いという感じで…

そんな、ふつふつふつふつと湧く脳内消化不良とともに読了。




「恋歌」第150回直木賞受賞作
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実在の女流歌人で、樋口一葉の歌の師匠としても知られ、
明治の世に歌塾「萩の舎」を主宰した「中島歌子」の生涯。
幕末、歌子は、水戸藩天狗党の「林忠左衛門以徳」と恋に落ち、
はれて妻となるも、
尊皇攘夷の急先鋒だった天狗党がやがて暴走し、
弾圧される中で、夫と引き離され、
自らも投獄され、過酷な運命に翻弄されることになる。
夫の死後義妹と共に水戸を離れ
「萩の舎」を主宰、後に一世を風靡し多くの浮き名を流した歌子だが
本当の想いはどこにあったのか? 時代の嵐を生き抜いた女の生涯が
その弟子「三宅花圃」の視線で語られ始める。

幕末の水戸藩って?天狗党って? 私には本当に未知の世界。
和歌も不調法だし…
そんなこんなで、結局、心を寄せられる登場人物が1人も居ないまま、
読み切ってしまった。

ん〜〜〜

一目で恋に落ち… というのに、もう付いていけない。
で、何不自由なく育った豊かな商家の娘が、
質素倹約を旨とする水戸の武家に嫁いで巧く行くわけナイだろう。
以徳(もちのり)様も、登世(とせ)を本当に愛しく思うなら
絶対、水戸になど連れて帰ってはいけなかった!
どうしても一緒になりたいなら家を捨て、婿養子になるべきだった。
家を武士を捨てられないなら、登世をあきらめよ!
恋愛と結婚は全く別なんだから!
結局無理を通した結果、
水戸の林家で、登世はどれだけ以徳様と共に過ごせたの?
その上投獄され命の危機に曝され…
結局、最後には実家の母を頼る羽目に。
本当にエライお母さんだと思う。
義妹の「てつ」も気の毒だ。
こんな手の掛かる義姉が突然現れて…
爺や「清六」も、2人に巻き込まれて最後は命を落とす羽目に。
天狗党の仲間「小四郎」はただもうバカなだけ!!ぷっくっくな顔むかっ(怒り)
そして時の水戸藩主「慶篤公」もなんと愚かな主君だ?!

そんなこんな、アチコチに引っ掛かり、
そこここでプンプンしながらちっ(怒った顔)雷
読了。
今まで読んだ朝井作品の中で1番相性が悪かった作品だった。
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