ドラマ版「ガラスの仮面」の再放送を見ている。20年以上前に放送されたものだ。野際陽子が演じる月影千草がコミックスそのまんまで感心した記憶がある。姫川亜弓役の松本恵はこのあと干されて引退に追い込まれたんだよなとか速水真澄の婚約者の紫織さんがやや残念な容貌だったよなとか当時の思いを確認しながら見ている。さて大都芸能社長である速水真澄の父速水英介を演じているのが筒井康隆。テレビで見かけた近況ではずいぶんお歳を召されたようで、ドラマの頃とは大違い。そうして思い出したので確か深い思索が記されたいた本書を再読することにした。
どうだろう、本書を読むことによって誰もが著者のような着想を得られるようになれるわけではない。虚構と現実について突き詰めて考え、実験的作品の背景を著者自ら語る。本書は自作のあとがき、それも複数作品にまたがっているからメタあとがきと言えるだろう。どの節も昭和50年代半ばに発表されているもの。あの頃からずっと先に立っていたわけで、凡人なる読者には少しも追いつけた気がしない。
ログインしてコメントを確認・投稿する