1989年 米
ベトナム戦争中に米兵の戦争犯罪を告発した退役兵士の回想。倫理観を貫き通すことの苦しさを描く。原題はCasualties of Warで、カジュアリティーズが映画公開当時には存在しなかったPTSDの概念を包含していることが窺える。主演はマイケル・J・フォックスで、バック・トゥ・ザ・フューチャーで定借したコメディ俳優としてのイメージを覆そうとしたか。実話がモデルになっている。
本作品はアメリカ人の倫理観を強調するものだが、そもそも戦場だぞ。主人公だって死にそうになるしベトナム兵を射撃してもいる。ベトナム人女性をレイプした兵士を訴えることで倫理観を示そうとしても、どうにもちぐはぐに見えてしまう。もっと大きな問題があるでしょうに。監督のデ・パルマ氏には悪いが、映画のメッセージを素直に受け取ることができない。
米国は独立このかた戦争に関わらなかったのがほんの十数年とも聞いている。パックス・アメリカーナというのはアメリカの側に立っている国だけが知る幻想であろうか。
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