妄想探偵社

〜トロッコ列車〜

朝一の亀岡行トロッコ列車は空いていた

多分団体観光客は亀岡から嵯峨嵐山に向かへば
渡月橋を始めとして京都市街に向かっていく観光ルートの方が
効率がいいからなのかも知れない
そして想定外に観光客が少ない時は
今までのパターンからして何かが起きる

『先生‥今の見ました？』

伴尾君が恐る恐る僕に訊いてきた

「見たって言ったって　トンネルの中じゃ何も見えないよ」

『私も見ちゃった
座席ら辺がぴかって光って一瞬ひょっとことおかめとそれに
昨日嵯峨嵐山からの帰りの列車で見かけたお姉さんもいた‥』

藍尾君もあっけらかんと言うけどその座席には誰もいない
それどころかこの車両そのものに乗客が少ない
だけど一言に引っかかる

「見かけたお姉さんって夜の列車で一緒に観光しないかと
誘った女性の人？」

『『そうです　先生がナンパした人です』』

藍尾君と伴尾君が声を揃えて言う

「あのねえ　あの時は君達が〈あの人が微笑んで私達を見た〉
って言うから　そのなんて言うか声をかけただけなんだけど」

『『そういうのナンパって言うんだと思います』』

また声を揃えちゃって
君達はザ・ピーナッツかリンリンランランか？