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2020年01月10日16:33

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読了2冊/垣谷美雨

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「あなたの人生、片づけます」
汚部屋の片づけのみならず、人生そのものを整理してくれるという
「大庭十萬里」さんの魅せる手腕!
短編4編で描かれる。

ケース1 清算
リア充を装うOL「永沢春花」が隠す私生活。
大庭さんは春花の心をスッキリ清算してくれた。

ケース2 木魚堂
妻を亡くして半年、「国友展蔵」は心を切り替えられずにいた。
そんな彼の面倒をみながら忙しさに自分を失っていく娘「風味子」。
その息子、「春翔」。
大庭さんはみんなの心を整理してくれた。

ケース3 豪商の館
豪邸に1人住む「三枝泳子」78歳
きちんと片付いたウチに必要なのは人生の店じまい。
大庭さんはどんな技を揮うのか?

ケース4 きれいすぎる部屋
姑の依頼で出向いた先に居た嫁「池田麻実子」は
魂の抜けたような顔をしていた。
長男を5年前に亡くしてから彼女の心は「ぶっ壊れ」(娘)
夫と娘2人は彼女を見捨てた。
この家族を大庭さんはどう片付けたのか?




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「姑の遺品整理は迷惑です」
またまた大庭十萬里さんが大活躍?と読み始めたら
違った。
片づけにまつわる物語ながら、大庭さんは登場せず。
突然、姑「多喜」があっけなく脳梗塞で逝って、
思いもかけず遺品整理を押付けられた「堀内望東子」の物語。
250ページの読み易い中編。



急逝した義母の住まい、
エレベーターの無い団地の4階、3DKの部屋に足を踏み入れた
望東子は愕然とした!
どこから手を付ければよいのかわからないほど“物”が溢れていて、
おまけに、うさぎも飼っていたらしい。

望東子は、
いわゆる地方の名家の奥様だった実家の母と比べてしまった。
15年前に亡くなった母は本当にキチンとした人で、
周りに迷惑を掛ける事を何よりもきらい、
自分にも他人にも厳しかった。
父が市長となってからは、妻として、
決して後ろ指を指されることのないよう、
周囲の人との関わりも最小限に留めた。
楽しみの習い事もやめてしまったほどである。

周囲の人と思い切り関わり、
お節介に面倒を見て、死後、懐かしがられ、
好きな物、思い出の物、義理の絡む物など
たくさんの捨てられない“物”に囲まれて逝った義母と比べると、
母の本音はどこにあったのだろう?
母は幸せだったのだろうか?
猫くらい飼えば良かったのに…

何も遺さず逝った母の存在は、今、幻だったようにさえ思える。

そして、望東子は思う。
「お義母さんは、ある意味嫁孝行。
 何かしてあげれば良かったなんていう
 悔いを感じないもの。
 お義母さんは我儘な人で、そして幸せな人だった。」



片付けは私も本当に苦手で、
大庭さんの一言一言が心に突き刺さる。
受け入れられることは受け入れ
なおかつ「でもね!」と小さく反論しながら
少しずつ片付ける方向へ歩み出そう。
人生の店じまい、始めねば!と思う。

が!
義母「多喜」さんのように、
好きな物、思い出の物は、まだまだ捨てられそうにないな〜

遺される側、遺す側、どちらでもある私。
登場人物を我が身に投影し、
ギョッ!としたり、じ〜んとしたり、苦笑したり…

実家を少し片付けた経験があるので、
望東子さんの怒りや嘆きには共感するのだが、
ついつい多貴さんになって「でもね」と
望東子さんに反論する事が1番多かったかな?(笑)
私も、ある意味「遺族孝行」な人間になりそう。(笑)
遺品整理には多大な迷惑を掛けそうだけど…げっそりあせあせ(飛び散る汗)
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