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2019年12月03日08:10

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『ギケイキ 千年の流転』を読んでみた。

ギケイキ: 千年の流転 (河出文庫)
http://mixi.jp/view_item.pl?reviewer_id=18627182&id=4507534

<以下、レビューページより転載>

このところ受験勉強にかまけて読書自体をしてなかったのだが、それ以前から、随分と長い間、小説というものを読んでなかった。読むのは学術系・趣味系の本とか、そういったものばかりで。
そこで、久々の読書復帰は、久々の小説で行こうと思い立った。
復帰に相応しい作家は? と考えると、やはり自分の好きな作家で、しかも、あまり難しくない作家がいい。いきなりヘビーなヤツは疲れるから。つうわけで、白羽の矢を立てたのが、この人、町田康。

調べてみると、2013年の夏から、現在も、文藝誌上で『ギケイキ』という作品を連載中。単行本も既に2巻が刊行されているという。で、そいつのあらすじというか、紹介文みたいのを読んでみて、これは! と思い、手に取ってみることにした。

「ギケイキ」とは、すなわち「義経記」のことである。
そう、日本史上屈指の悲劇のヒーローとして知られる平安時代末期の武将・源義経とその主従の活躍を描いた軍記物、南北朝時代〜室町初期に成立して大衆に人気を博したとされ、能や歌舞伎でも様々の場面が演じられる、あの『義経記』の、かなりエッジの効いた現代語訳、というか超訳である。
現代も生き続ける源義経の魂が、一人称で、『義経記』を語り直す。という手法を採っている。

町田による古典の現代語訳は、池澤夏樹個人編集による日本文学全集の中の『宇治拾集物語』で、既に体験していた。
で、それも頗る面白かったので、今度も、ハズレはあるまい、と期待して手に取ってみたのだが、やはり期待通り、かなり楽しく、面白く、電車の中など、公的な場所で読み進める場合、吹き出しそうになるのを堪えるのに苦労する、、といった塩梅(;´∀`)
(『宇治拾遺〜』と『ギケイキ』はどっちが先か? 気になったので調べてみたら、『宇治拾遺〜』は刊行が2015年、『ギケイキ』は連載が2013年の夏からなので、ほとんど同時進行だったんじゃ? と思う)
巻末の解説に、古典エッセイストの方が書いていたが、やはり町田の小説の、語り口調のリズミカルな文体が、語り部によって口伝されるのを基本としてきた、日本の古典文学の王道作品のリバイバルに、とても向いている、マッチしているということなのだろうと思う。内容が面白いのもあるが、すいすい読み進めることが出来る。そして、なんつうか、ユーモア? スラップスティック的なコメディ・センス? これには参る。。

第1巻となる本書では、鞍馬寺に預けられた義経が寺を出て奥州に下り、伊勢三郎や弁慶と出会い(弁慶については、彼の生い立ちも詳しく語られる)、兄頼朝の挙兵に馳せ参じて対面を果たす、その直前までが描かれる。
2巻以降の続編が、非常に楽しみな作品である( `ー´)ノ
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