昨日はカイシャの人の結婚式。
シャチョウになって以降、俺はあいさつを頼まれることが多い。過去に一人、どちら側からもあいさつなしということもあったし、すべてではない。
招待状の中に『乾杯の発声を賜りたく…』というカードがあった。
そういえば以前も、披露宴の挨拶は学生時代の恩師にお願いしたいので、俺には乾杯の発声を、ということがあった。俺としては、役などない方が気楽なんだけど、ああいうのは社会的なしきたりもあるだろうから、そういうわけにはいかないのだろう。
他の方があいさつしてくれるのなら、正直、それだけプレッシャーは軽くなる。ああいう大事な場面でお祝いのあいさつを述べるって、そこそこ緊張するのだ。結婚式に年2、3回呼ばれていれば、ある程度は慣れるにしてもさ。
今回は、ちょっと気持ちを軽くして、式場に向かうことができた。
会場に着くと、少し前に体調を崩してうちを辞めた人がきてた。
久しぶりです、と声をかけると、ようやく通院も終わったんです、という。それは良かった。
いつもならあいさつの文面を考えるので、こんな余裕はない。
式場であいさつ考えんのかよ、といわれる向きもあるかもしれないが、まぁ言ってしまえば、そうなのだ(苦笑)。いや、漠然と何言えばいいだろう、と考えてはいるけど。
そのあと式があって、披露宴会場へ。
いつものように、というとなんだけど、たいていの場合は新婦側の一番前、一番新婦に近い位置だった。今回は別の方が主賓だろうから、その人と同じテーブルなのかな、と思ったら、テーブルはカイシャの人たちで固められていた。
そのあたりで、気づくべきだったかもしれない。
自分の席に着くと、係の人がきて「お飲み物を」という。
いつもなら緊張感で式の前の飲み物は「ウーロン茶を」くらいにしておくところだけど、
「白ワインをお願いします」
あいさつないので、余裕だ(笑)。
そこで司会の人が来た。
紹介するときの俺の名前と肩書を確認し、
「今日は乾杯のあいさつをということで、よろしくお願いします」
「はい、よろしくお願いします」
「乾杯の前に、ごあいさつされますよね」
「はい。簡単に」
「乾杯のタイミングは私がとりますので、ごあいさつが終わったら、お願いします。どういうふうに終わるとかありますか?」
そのあたりで、ん?と思い始める。
「ええと、私の前でどなたか主賓のあいさつをされる方、みえるんですよね」
「いいえ。どなたもみえません。新郎側の上司の方がごあいさつされたあと、飲み物を注がれて乾杯に入ることになっています。そのとき、新婦側から(俺)様がごあいさつされて、そのまま乾杯ということで」
「…そういうことか」
「わかりにくくてすみません」
司会の人も、苦笑気味だ。いや、俺も声に出して言うことじゃなかったか。
あいさつないどころか、仕事が増えてんじゃねーか。
「あ、はい。わかりました。だいじょうぶです」
そのあとは、いつも以上の緊張感だ。
大急ぎで頭の中で原稿をまとめなければならない。乾杯のとき「かんぱ〜い」だけじゃ失礼かと思い(苦笑)、少しはあいさつを考えていた。それを定型に沿ってふくらましていく。
あとからきたカイシャの人たちに言うと、
「それでテーブルにきたら、いきなり緊張感ただよってたんですね(笑)」
「わぁ、動画ポイントだ」
「いや、そういうの、いいから」
体感で平均年2、3回という経験にも助けられ(苦笑)、なんとかやり終えることができました。
やれやれ。
やられたなぁ。
油断のできない世界だ。
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