ジグソーパズルは順調に進んでいた。
しかし途中で手が止まる。
ピースが足りないのだ。
「あれれ」と捜してみるが、見つからない。
「まあいい・・・パズル以外にも、色々と忙しいのだ」
放ったらかして1年ぶりに再開しようとしたが、
見知らぬ侵入者がパズルをいじったのか、
足りないピースが増えていた。
「あれれ」と慌ててみるが、見つからない。
そして「ああそうか」と気付く。
足りないのではない。
「失くした」のだ。
パズルは限定品だから、買い直しは出来ない。
替えがきかない。
想定外に喪失感が・・・・・・
ジワジワと、拡がる。
(順調に、作って来たパズルだったのに、
その時間と努力と積み重ねを、
自ら消してしまった・・・・・・)
鏡に映る顔を眺める。
意外な程、希望を失くした表情に、
虚ろに思えた日々にも希望のあった事に気付く。
では今も、気付かぬ希望が、
自分の中にはあるのだろうか。
替えのきかない、ピースを失くしたパズルを見つめながら、
「更新」という言葉が何故か浮かんで来る。
鏡に映る顔を眺める。
そして呟く。
「ヒントをくれ」
見上げられぬ空は、青空だった。
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