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2019年09月19日10:14

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「さえこ照ラス」シリーズ2冊/友井 羊

2冊、いずれも、舞台は沖縄。

弁護士不在地域などにおける
司法弱者の救済をひとつの目的として作られた
法務省が管轄する組織日本司法支援センターを「法テラス」と呼ぶ。
言ってみれば現代の法律版駆け込み寺!

ここは沖縄北部の町にある「法テラス」。
そこに赴任してきたのが阿礼沙英子。
東京の有名な法律事務所の優秀な弁護士だったらしい?
なのになぜ沖縄のこんな施設に?
その下で事務員として働くのが2人。
京都出身。35歳、シングルマザー。 内村。
沖縄出身。働いていた沖縄蕎麦屋が潰れてここに流れ着いた、大城。
彼はもっぱら、他所から来た人には到底わからない、
キツイ沖縄の方言(ウチナーグチ)を沙英子に通訳する役に。
そして、ズルズルと調査員として事件に関わていく。
そこに、
修習生時代から沙英子をライバル視しつつ惹かれている、
天敵弁護士、具志堅 巌 や
沙英子を尊敬する後輩の女性裁判官 が絡んで…
そんな日々、絶えることのない市井の人々のもめ事を、
沙英子は、人知れず緻密な調査を実行しながら、ズバズバ解決していく。
それが、大城クンの視点で語られる。

出逢った頃、彼を驚かせ恐れさせた彼女の悪口雑言は子気味よい。
が… 友達にはなれないタイプかなぁ〜(笑)



フォト

「さえこ照ラス」/友井 羊
オバァの後遺障害認定事案/軍用地相続の調停事案/モアイの相談
誘拐事件の国選弁護/ユタの証明/親権問題の調停事案
オジィとオバァの窃盗事件

医者の不勉強で、オバァが交通事故の後遺症で苦しんでいたり、
軍用地と血縁と過去が絡む非嫡子の遺産相続問題、
沖縄独特の風習、模合(もあい)を悪用する詐欺、
少女誘拐と虐待、沖縄人の心の支えユタとノロの詐欺、
DVが絡む離婚と親権、哀しいオバァの窃盗…

沙英子さん、
とにかく口は悪い! しかし本当にデキル!



フォト

「沖縄オバァの小さな偽証 −さえこ照ラス−」/友井 羊
チャクシとユミの離婚相談/飲酒運転の刑事弁護
沙英子の長期休暇/トートーメーの継承問題
生活保護受給者の借金問題/離島の刑事弁護事案/沖縄すば屋の相続問題

2作目、
タイトルは7編あるうちの最後の短編から取られたのだろうが、
他は、沖縄オバァは登場せず。どうしてこれ?

相続問題の論点が紅型染めとか沖縄そば店本店についてとか、
ローカル度いっぱいの案件に対し
パワー全開で、あい変らずガンガン突き進む沙英子先生!
東京での出来事も明らかになる。
いかにも! やらかした事が沙英子らしい!



2冊いずれも、
起こる案件は、ミステリーというほどではないささやかなもめ事。
その背景にある、沖縄の土地、風土、食、空気感は濃密!
食物の描写が詳細で、
最近、ベトナム料理・カンボジア料理に注目しているのだけれど、
かなり共通点が…
そこにアメリカンテイストが加わるのだけれど、
沖縄は日本ではなくアジアだなぁ〜と思わされる。
そして、やたら「まぐろ」が登場するのもビックリ。
沖縄人、まぐろが大好きなのね。

で、沙英子と大城のやり取りが楽しいのだが。
ウチナンチューの会話に沖縄の方言そのまま書き、
「〜という意味です」と大城に通訳させる。
これが結構ウットオシイ。
「 」内に文字で書かれる方言は全く意味不明、
これ映像化されテロップでも出ればよいのだろうが、
読む流れをぶった切られ、いつもの読書のペースを乱される。
あえて方言を書きたいという著者の意図はワカルので、
せめて会話の後ろに( )で直訳をつけるとか
読み易く分かり易い工夫をしてくれたら、もっとサクサク読めたな。

これでもか!というほどの濃い沖縄色!
それを支えたのが大変な量の参考文献。
沖縄大好き!という読み手には、もうもうたまらない作品だろう。

故 平良とみさんが、今いらしたら、軸に置いて、
ドラマにしてくれたら、面白いだろうな〜 と思う。
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