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2019年09月15日13:06

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読了3冊/ミステリー古今

お江戸のミステリー1冊
東京のミステリー2冊



「鬼を待つ」(弥勒シリーズ 9)/あさの あつこ
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一、 細萩/二、 水葉/三、 空蝉/四、 烏夜/五、 月影/六、 薄明

大好きな「弥勒シリーズ」もいよいよ9作目となった。
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本作でも、お江戸の闇に魑魅魍魎が 疼く。騒めく。震える。

当初起こるのは、ごくありふれた事件?自死?
酒乱の版木彫職人「菊八」が
酔ってけんかで人を殺めたと思い自害した?
北町定町廻り同心の小暮信次郎は歯牙にもかけない。
が、ちと きな臭い様相を呈してくる。
殺めたと思われた大工の棟梁「慶五郎」が
菊八の死に責任を感じてなにくれとその女房の面倒をみる…
そこに信次郎は人間の心の闇を見る。
一方、遠野屋清之介の周囲も何かと騒がしい。
遠野紅を巡る陰謀。
そして慶五郎、陰謀の中心に居た八代屋の主が同様の手口で殺され…
イッキに精彩を放つ信次郎!
あいかわらず振り回される伊佐治親分。
真相は、いまだ清之介に纏わりつく過去の残渣にあった。
…と、
犯行の方法は犯人の特殊能力という
ミステリーとしては少々ルール違反な結末だが、
実際、ミステリーとしてこのシリーズを楽しみにしている人は
まず居ないだろうな。(笑)
あさのさんの書く、心に直に響く<詞><フレーズ>
それらで現わされる登場人物たちの魅力。
それらの「美味」を、脳で心でじっくり味わうことを愉しみに、
ページをめくるのだ。

本作では、遠野屋が色々な意味でうろたえさせられる。
(遠野屋ファンのルーニーさんにライバル登場?!! 笑)
伊佐治親分とその家族の暖かさが、このシリーズの“癒し”である。



「ゆえに、警官は見護る」/日明 恩(たちもりめぐみ)
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これもシリーズ物の第4弾。
タイヤの中に人を立てて燃やす事件が発生。
その4日後にもまた…
そんな焼死体事件を、
新宿署留置管理課勤務の武本警部補と
警視庁の治外法権、潮崎警視が、それぞれの立場からアプローチする。
武本の愚直さと潮崎の独自性はいつも通り。
そこに警視庁の屁理屈大王宇佐見巡査部長が加わり。
もっとも、武本が軸ではなく
潮崎のお目付け役として抜擢(?)された若い女性刑事、正木星里花
の目線で展開していく。

事件の根は東日本震災が関東で起こした液状化にあった。
事件は派手に展開する事なく、宇佐美、潮崎、正木のチームは、
防犯カメラの映像チェックという地道な作業をコツコツと進めていく。
地味な心理戦。
そして、
タイトルそのもの!
武本が本当に真摯にその職務を遂行し
つぶさに留置場の中を見つめていたことが最終的に事件を終息させる。
それもまた見事な心理戦。

最後の武本の言葉「やりきれないです」が
哀しかった。



「幸福の手紙」/内田 康夫
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プロローグ
第一章 井の頭公園殺人事件/第二章 半分の馬/第三章 日勝峠
第四章 画伯とその弟子/第五章 幸せの予感/第六章 法医学教授
エピローグ

日明さんの文章は量も内容も、重厚で、
読み応えがあった(難読とも言う… 笑)が、
こちらは…  軽い!!

内田作品は、旅物ミステリーをTVで見るばかりで、
実際、文字で読むのは初めてかも。
大好きな画家「神田日勝」の絶筆が
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謎解きのキーワードになっている作品だと、
大変な読書家のマイミク、ルーニーさんに紹介されたから。

TVで見る限り、
フリーのレポライター「浅見光彦」が、
日本各地(だいたい観光地)に出掛け事件に巻き込まれ、
当初、現地の警察に疎まれたり疑われたりするも
謎を解く過程で兄が警察庁刑事局長の浅見陽一郎警視監と判明、
とたんに警察の対応が手の平を返したように変わり、
…と、毎回流れの決まった水戸黄門の現代版のような内容。
番組を見るのは各地の風景を眺めるのが目的で…

ということで、初めて読んだ内田さんは、
余りに喰い足りなく…
余りに色々都合よく…

それでも、今、朝ドラで急に脚光を浴びた「神田日勝」に
1994年に光を当てているのはスゴイ!

で、
何も知らずに読み進み、
殺された男の口から出た「半分の馬」… なる言葉を
浅見光彦と共に訝しみ追い日勝に出逢い!!!
感動するのだろうけれど、
何せ、私、「半分の馬」が書かれているから読んだもので…(笑)
しかし、日勝さんについての詳しい話や
私は未だ観たことのない「半分の馬」の描写は
非常に魅力的だった。

次に内田さんを読むのは、何を目的にしてかな?
飛鳥の古代の謎を絡めたミステリーはあるかしら?
あったら、秋の飛鳥旅の予習に読んでおこう。
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