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2019年07月15日04:35

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『骨と十字架　― Keep Walking ―』by 新国立劇場演劇

7/13(土) ＠新国立劇場小劇場
13：00～14：55（含休憩15分)

脚本: 野木萌葱／演出:小川絵梨子
キャスト:神農直隆、小林隆、伊達暁、佐藤祐基、近藤芳正

進化の道をたどることは神に反することなのか――
実在した、古生物学者で司祭テイヤール(神農)が信じる道とは......
教会が進化論をまだ認めていない時代、
古生物学者として北京原人の発見に関わってしまった司祭テイヤール。
そんな彼と立場の違う4人の司祭の物語。
それを､重厚な会話劇でいつも愉しませてくれる野木萌葱さん(ﾊﾟﾗﾄﾞｯｸｽ定数)
が書き下ろしたと言う。これは面白いだろうな～と思っていたら､
ひょんなことでチケットが転がり込んで、当日、期待して出掛けて行った。

会場間近！　芝居好きの心を騒がせる幟がたなびく！

会場内も…　階段に類人猿→人類への進化の階段

トイレを教えてくれるのは北京原人。

舞台の撮影は不可だが模型を置いてくれている。

ここが､ヴァチカンにも中国の発掘現場にもなる…

人物関係図、他イラストは「まいまい堂」

ん？
ポスターの大きいのを良～～く見たら、
タイトル｢骨と十字架｣の｢と｣が､りんごを尾で抱えた蛇だった！

凝ってるよねぇ～

開幕
進化論を肯定する論文を書いたテイヤールが
検邪聖省の司祭レジナルド(近藤)の喚問を受けている。
進化論を否定するキリスト教。
異国の神への供物｢オベリスク｣の突端に十字架を掲げてしまうヴァチカンだ。

｢ヒト｣は神が創りしアダムより“今”に至る！と主張し、
あらゆる異論を封殺することなどたやすい。
しかし､テイヤールにはそれが相反するモノとは思えない。
周囲の好悪入り混じった感情の中、
テイヤールは､考古学者である司祭リサン(伊達)の招きで北京へ赴き…

北京原人の発掘に関わってしまった！

サルからヒトへの重要なミッシングリングの発見で、
イッキ！に進化論は力を増すも、ヴァチカンは頑として否定し続ける。

聖書は｢比喩｣。
ヒトが知恵の実を食し知恵を身に付け､神を認識し、
神を目指し､神に限りなく近づく事こそ神のご意志である！という持論で、
進化論とキリスト教の間に何の齟齬も無いとするテイヤールの主張は､
神はいと高き所におわし､ヒトが近づく事などあり得ない！と論破され､

結局､司祭で居続ける事を望んだテイヤールは、
その後､生存中､自論を発表する機会を奪われた｡(↓実在のテイヤール)

(73歳でニューヨークで亡くなった後､彼の遺稿刊行委員会によって
｢現象としての人間｣が発行され､賛否両論はげしい論争を巻き起こしたそうだ｡)

芝居は､機会を奪われても聖職者で居ることを選んだ…　という所で終演。
ん？　と､かなり短く感じたのは､
たしかに､正味100分というと通常の芝居より大分短いのだけれど、
ここで終わられると､観ている者は､
それまでテイヤールに寄り添ってきた想いをバッサリ断ち切られるからだろう｡

野木さんは､観る者に､想いをどこに着地させたかったのだろう？

私は､12～17歳の脳がカオスの時(笑)
ミッション系の女子校でキリスト教にどっぷり浸って暮らし､
大学で西洋史を先行してキリスト教概論やらその手の授業を、
イヤでも受けてきた人間だから､
決してクリスチャンでは無いが、
根底の部分でレジナルドの言う事も理解できてしまうし、
テイヤールの主張も、ま､それもありかもと思う。
で、合い入れないのはしょうがない､と興味深く観つつ、
でもね！私は！！と自論まで展開したくなってくる。
が！
キリスト教と全く関わらずに生きてきた､普通の日本人の観客は
この面白味は伝わったのだろうか？
アダムがヒトの始祖である､と主張するレジナルドと教義、
これそのものが､理解して観劇していない人も居たに違いない。
(前述の｢と｣が蛇である面白さも､どれだけの人が意味を理解したかな？)

以前､映画｢ダ･ヴィンチ･コード｣終映後､
｢なんでキリストに子供が居たらダメなの？｣
｢それを隠すために殺し合うなんてネ～｣という会話を耳にし
ココの意味がわからないとこの作品観る意味が無いだろうな～
と､しみじみ思ったのだけれど､
これは､キリスト教圏制作の映画だからしょうがない。
けれど、
本作は、せっかく日本の脚本家が日本人の役者をつかって表した作品だ。
全くキリスト教の素地が無くても､
5人の立ち位置の違う司祭たちそれぞれの苦悩や怒りや他の想いが
もう少し伝わりやすくする工夫は無かったかな？と
要らぬ心配をしてしまった。

個人的には、
野木さんらしい台詞の重さをシッカリ受け止め､
それぞれの言葉に共感し｡かつ反発もし､
心ざわめく愉しい時間を過ごさせて頂いた。

で、コーユー芝居､観ちゃうと､終演後はやっぱり語りたいのよね～
同行のマリナさんと､｢西安餃子｣＠オペラシティＢ1 へ！
メインの羽根つき餃子はじめ､各種餃子も､きゅうりの和え物もみな美味！
で！　名物“白びゃん”