mixiユーザー(id:1833966)

2019年04月05日02:48

103 view

日本から液晶パネルメーカーが無くなる! JDIの台湾・中国連合への身売りに危機感;南樺太のワイルドフラワー

 日の丸液晶メーカーが、事実上消滅する。このほど経営再建中のジャパンディスプレ(JDI)は、台湾の電子部品メーカーやスターリニスト中国のファンドから最大800億円の金融支援を受けることで合意した。

◎コモディティ化の波に飲まれ
 このうち400億円は株式引受で、この出資が実現すると、台湾・中国連合の出資は5割弱となり、反対に過半数の株式を握るINJC(旧産業革新機構)の議決権は半分の25%強に下がるから、台中連合が事実上の主導権を握る。日本で唯一の中小型液晶パネルメーカーの台中への身売りで、日本から液晶パネルメーカーは事実上、消え去る。
 半導体と同様、日本発の液晶パネルにはかつて10社以上もしのぎを削り、世界の液晶パネルを事実上、独占していた。
 ところがその後、液晶パネルは製造装置メーカーの技術革新で、資金さえあれば技術はなくとも誰でも作れるようになった。
 いわゆる「コモディティ化」である。これにより製品の差別化のできなかった日本勢は、韓国のサムスン電子、LGディスプレイの積極投資で、じり貧化をたどる。

◎日の丸連合のJDIが生まれたが
 かつて「液晶のシャープ」と言われ、世界最強のメーカーだったシャープも、パネルの値下がりと過大投資がたたり、2016年には台湾の鴻海精密工業に買収されてしまった。シャープが強かったのは、テレビ向けの大型液晶パネルで、韓国勢の他、国家と地方政府の手厚い資金支援で大規模な製造装置を備えたスターリニスト中国の新興メーカーにも負けた。
 唯一、日本に残されたのは、スマホなどに使われる中小型液晶パネルで、高精細など技術的に優れていたが、韓中のメーカーのような単独では大型投資のできないため、じり貧かは免れなかった。そこで日立、東芝、ソニーの3社が中小型液晶パネル部門を切り離して統合、産業革新機構(現INJC)の資本参加を受け、中小型液晶パネルの日の丸連合、JDIが生まれた。

◎半導体のたどった敗北のなぞり
 しかしそのJDIも、韓中の液晶パネルメーカーにキャッチアップされ、しかもスマホなどの小型画面が、より美しく、低消費電力の有機ELパネルにシフトしつつある中、経営危機に陥った。
 1980年代、世界の半導体市場は、日本の総合電機メーカーの独壇場だったが、これはいち早く果敢に大型投資をする韓国のサムスン電子やSKハイニックスに敗れた。
 特にDRAMは完敗で、孤軍奮闘していたエルピーダメモリ(NECと日立の半導体部門が統合して出来たNEC日立メモリが前身)も2012年に倒産し、アメリカのマイクロン·テクノロジに買収されてしまった。
 唯一残ったフラッシュメモリの東芝も、原発関連の巨額損失で虎の子のメモリ部門を分社化し、主にアメリカ中心のファンドに売却された。
 つまり今回のJDIの身売りは、半導体事業の二の舞と言える。半導体事業の失敗を教訓とすれば、むざむざ液晶パネルで敗退することもなかっただろう。

◎基礎的な電子部品の危機
 半導体も液晶パネルも、日本勢は最初に市場化に成功し、世界市場を独占したのに、いずれも技術より大型装置という趨勢の前に、投資判断に誤り、敗退している。総合電機メーカーの一部門であったために、投資の意思決定が遅く、また額も中途半端だったため、とされる。この点は、サムスン電子に学ぶところが多い。
 しかし大型パネルに次いで中小型パネルでも、純粋日本メーカーのなくなった液晶パネル、そして韓中に明らかに劣後している次世代の有機ELパネルの不在、さらに半導体、と、基礎的電子部品のなくなった現状は、危機的である。
 これは、やがてもっと広い電子部品業界にも波及するかもしれない。
 そうなった時、日本はどうやって食っていけばよいのか。

◎アメリカのCFIUSの介入が頼り
 希望があるとすれば――かなり狭い道ではあるが――、JDIの身売りに、出資者にスターリニスト中国のファンドが入っているため、アメリカの対米外国投資委員会(CFIUS)が介入する余地があり、場合によっては審査の結果、不承認ということもあるという点だ。不承認となったら、今度こそ政投銀や日本の産業界がJDIに出資し、日本唯一のディスプレーメーカーを守って欲しい。
 JDIは、子会社に有機ELパネルメーカーも持つ。経営資源を有機ELパネルに集中すれば、韓中勢に追いつき、追い越すことも夢ではないだろう。
 どうか日本の基礎的電子部品事業を守って、と願わずにはいられない。

◎補遺:南樺太のワイルドフラワー
 写真は、昨年訪れた南樺太、中知床半島のブッセ湖湖畔に咲くワイルドフラワーの群落。上2枚はセンダイハギ、次いでコウリンタンポポと後方の紫のチシマフウロ、最下段がコウリンタンポポ、センダイハギ、ミヤマキンポウゲの大競演。

注 容量制限をオーバーしているため、読者の皆様方にまことに申し訳ありませんが、本日記に写真を掲載できません。
 写真をご覧になりたい方は、お手数ですが、https://plaza.rakuten.co.jp/libpubli2/diary/201904050000/をクリックし、楽天ブログに飛んでいただければ、写真を見ることができます。

昨年の今日の日記:「絶好調のソニー株、買えない理由、コングロマリット・ディスカウント」

3 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2019年04月>
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
282930