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2019年04月05日01:15

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焼き直し

 私が、しばしば日記で取り上げる指揮者ユージン・オーマンディには、上掲写真のようなアルバムがあります。モーツァルトの管楽器の協奏曲集です。
 このアルバムのすごいところは、各協奏曲のソリストがすべて当時のフィラデルフィア管弦楽団の首席奏者であるということです。普通、協奏曲を演奏する場合には、ソリストは、そのオーケストラの外部者で独立にソロ活動している人を招んで共演するものですが、このアルバムでは、オーマンディが半世紀近くも常任指揮者を務めたフィラデルフィア管弦楽団で、全て事足りてしまうのです。
 まぁ、各管楽器の首席奏者にソリストを務めさせること自体はどこの楽団でも可能ですが、これをレコード化するとなると、ある程度以上売れるという目算が立たないと、なかなか実現できないものです。このような企画でアルバムを作ったということは、レコード会社としても、これは売れると踏んだからといえます。
 実際、このアルバムのソリストは、いずれもレコード会社がそう踏んだのもおかしくないほどのビッグネームが揃っていました。これはこの楽団の音作りの指針から来たものと思われます。
 フィラデルフィア管弦楽団は、基本的には弦楽器中心の楽団ですが、ただ管楽器には名手を充てるという方針を採ったのです。オーマンディは、この方針を最大限に活かして、“フィラデルフィア・サウンド”と呼ばれる音作りに成功しました(ただし、本人はフィラデルフィア・サウンドと呼ばれるのを嫌い、“オーマンディ・トーン”と言っていたそうです)。
 ただ、こうした企画ゆえか、頻繁に演奏されるにもかかわらず、このアルバムには収録されなかった曲があります。フルート協奏曲第2番です。
https://www.youtube.com/watch?v=kPUYn_wpHeI

 この曲がなぜ収録されなかったかは、これより以前に作曲されたオーボエ協奏曲を聴くと、なんとなく推測できます。
https://www.youtube.com/watch?v=atfKC9RDsR0

 フルート協奏曲第2番に似ていると思いませんか? というか、調こそ変えてありますが(オーボエ協奏曲はハ長調、フルート協奏曲第2番はニ長調)、フルート協奏曲第2番は実はオーボエ協奏曲の焼き直しなのです。
 モーツァルトは、あるフルート愛好家から、フルート協奏曲を3曲作曲するように依頼されたのですが、この人にしては珍しく筆が進まなかった上、依頼者から完成を急がされたこともあって、1曲作曲したところで、2曲目は、オーボエ協奏曲をニ長調に移調してフルート向きにアレンジするという急場しのぎ的な挙に出たのです。
 でも、これはすぐにばれ、モーツァルトは依頼主からの報酬をその分減らされてしまったということです。
 なんでこんなことを思い出したかというと、今日、自分が以前書いた日記を読んでて、過去に書いた日記を焼き直したものを発見したからです。
https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1941976786&owner_id=22841595
 今読むと、この日記は、こちらの日記(https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1484481275&owner_id=22841595)の焼き直しです。
 書いているときには、全然そんな意識はなく、音声付きになって分かりやすくなっただろうというくらいの気持ちで音声を付けていったのですが、いつのまにか、モーツァルトに似たことをしていたようです。
 どうせ似るなら、こんなトホホなところではなく、たぐいまれな音楽的才能で似たかったものですが。
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