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2019年03月26日20:47

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「金子文子と朴烈」

大正時代の日本に実在した無政府主義者、朴烈と彼に共感した日本人女性、金子文子を描いた韓国映画です。
1923年の東京。社会主義者たちが集う有楽町のおでん屋で働く金子文子は、「犬ころ」という詩に心を奪われます。この詩を書いたのは朝鮮人アナキストの朴烈で、二人は出会ってすぐに、唯一無二の同志、そして恋人として共に生きていくことを決めます。
しかし、関東大震災が起き、二人の運命は大きく変わります。
関東大震災後、朝鮮人が放火したり、井戸に毒を入れたりしているというデマが流され、多くの朝鮮人が虐殺されましたが、さらに政府は被災による人びとの不安を鎮めるため、朝鮮人や社会主義者らを無差別に拘束し、朴烈、文子たちも獄中へ送り込まれてしまいます。天皇を暗殺しようとする物的証拠など、何もないままに大逆罪で裁判にかけられます。死刑になるかもしれないのに、二人とも、まあ、なんと自由で生きのいいこと!

朴烈の役もですが、金子文子を演じたチェ・ヒソという女優さんがとても美しく魅力的でした。日本人女性役ということで全編ほぼ日本語のセリフで熱演ですが、子どもの時、5年間大阪で暮らしていたそうで、違和感が無かったです。

国家にも朴烈にも従属することなく誇り高かった文子が、23歳の若さで獄中で亡くなった(殺された?)こと、存在自体がほとんど知られていないのは残念です。この映画は日本人でも心ある人は公平に描いていて、反日映画ではなく、文子と朴烈が権力に向かい合う映画であり、国境を越えたラブストーリーです。
瀬戸内寂聴さんが二人を「余白の春」という小説で書いているそうで、読んでみたいです。
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