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2019年02月27日22:12

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『奇想の系譜展 江戸絵画ミラクルワールド』に行って来た。

けふもまた夜勤明けの半休を利用して。

東京都美術館「奇想の系譜展 江戸絵画ミラクルワールド」
【展覧会HP】https://kisou2019.jp/
フォト
美術史家・辻惟雄氏(1932〜)が『奇想の系譜』を上梓したのが1970年のことというから、もうほとんど半世紀前になるわけだ。
刊行当時、本書に取り上げられた、岩佐又兵衛、狩野山雪、伊藤若冲、曽我蕭白、長沢芦雪、歌川国芳らの絵師は、美術界ではあまり高い評価をされていなかった、、というのは有名な話。
しかし、それから50年。。今日日の彼らの扱いはどうか?
又兵衛や山雪が、ムチャクチャ人気があるかというと、そうとも限らないような気もするが、、しかし又兵衛の場合は近年、代表作の《洛中洛外図》が遂に国宝に指定されたし、若冲や国芳は関係展覧会が頻繁に催され、ほとんど必ず大混雑するというフィーバーぶり。若冲や国芳には及ばないまでも、蕭白や芦雪だって評価は目に見えてうなぎ上りで、近年云われる「江戸絵画ブーム」「日本美術ブーム」の一翼を担っていることは間違いない。
本展は、いわば「日本美術界の潮目を変えた」と言っても過言ではない辻氏の著書『奇想の系譜』で取り上げられた6人の絵師に、同じ系統で語られることが多い白隠と其一を加え、計8人の絵師を「奇想」というキーワードの下に集め、その代表作を一堂に展覧しようという試み。


まず心配だったのは、先にも触れたように、人気絵師揃い踏みの展覧会であるから、混雑。。
つうことで、平日の夕方を狙ってお邪魔してみたのだが、激混みとはいかないまでも、やはりそれなりの混雑具合。
大画面の障壁画や掛け軸なら、少し待てば真ん前の最前列で鑑賞できたが、問題は絵巻物。。これは渋滞が激しく、《山中常盤》なんかは、以前所蔵先のMOAでじっくり見てるし、今回はスルーしたm(__)m

さて、展覧会の総評だが、、
期待値の割には、手放しで褒めるにはちょっと、、というような感想であった。
まず、それぞれが主役を張れる、個性の濃い8人を集め混合した結果、8倍増とは言わずとも、1人1人の展示よりさらに濃厚・濃密な内容になっていたかというと、全然そんなことはなくて、逆に、個々の展示数が少ない分、内容は薄口になり、物足りなさを感じるところがあった。というのが正直なところ。
特に、展示のトップバッターを務めた若冲なんかは、細密画系の同じような作品の展示が多く、この人の多岐に渡る画才、バリエーション豊富な魅力を、全然伝えきれてないという感じで。。

ただ、蕭白、芦雪、山雪、其一あたりの展示は好かった気がする。
山雪や其一の場合は、自分が彼らのことを好きだから。お気に入りの作品が招来されてたから。という個人的な理由から好感を持ったというのもあるけれど、蕭白と芦雪は展示物の構成を評価したい。
こういう内容の企画の場合、若冲を細密画系で押したように、蕭白はグロテスク系押しで構成しそうなところだが、本展では、冴え冴えとした山水画・風景画を中心に構成してあった。個人的にはその点がポイント高かった。
芦雪の場合は、構成というか、この人の人間的な魅力を感じれるような作品が多かった点が好感度アップにつながった気がする。酒を飲んで、興に乗って、悪乗りして描きました(テヘペロ)。みたいな作品が、この人の場合面白い♪

個々の作品では、蕭白の《唐獅子図》(三重・朝田寺/重文)、芦雪の《群猿図襖》(兵庫・大乗寺/重文※それぞれの猿に、個性を感じさせるような表情・所作の描き分けがなされていて、見ていて飽きない)、山雪の《梅花遊禽図襖》(京都・天球院/重文)、其一の《百鳥百獣図》(米国・キャサリン&トーマスエドソンコレクション※本品をはじめ、海外からの里帰り品も多く、それらを見れたのは貴重だったと思う)などが、素晴らしいと思った作品♪

自分が今回、彼ら「奇想の絵師」たちから、共通して感じたのは、「奇想」というよりも、「偏狂さ」と「過剰さ」である。
その質の差こそあれ、それぞれが興味を持った対象に、異常な執着を示し、常識的な目からは過剰としか思えない表現でアウトプットする。。普通に考えたら「このへんでバランスを取ろう」と思うような、ブレーキ感覚がない。。突き抜けてる、振り切れてる感じ♪
そういうの、堪らなく好きなので、やっぱこの人たちはスゲェなぁ、と改めて感じた美術鑑賞でしたm(__)m
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