挿絵:佐竹美保
「精霊の守り人」(1996年刊)から始まる
上橋菜穂子さんの大長編ファンタジー小説「守り人」シリーズの最新作!
「流れ行く者」「炎路を行く者」に続く外伝の3作目で、ひさしぶりの長編。
序章 風の旅立ち
第一章 あらたな旅へ
第二章 遠き日々
第三章 風の行方
終章 風がいこうところ
タルシュ帝国との戦いから1年半。
新ヨゴ皇国は少しずつ復興してきていた。
つれあいのタンダとともに草市を訪れたバルサは、
かつて共に忘れ得ぬ旅をしたサダン・タラム(風の楽人)達と再会、
偶然その危機を救い、再び、旅の護衛を頼まれる。
シャタ(流水琴)を奏で、異界への道を開くことができる頭は、
ある事情から密かに狙われていたのだった。
背景に在るのはロタ王国東北部ラクル地方の
ロタ氏族「マグア家」と消えゆく氏族ターサの「アール家」の確執だった。
19歳の若き頭「エオナ」を守って旅立つバルサ。
バルサの心にジグロと過ごした16歳の時の旅がよみがえり
今と交叉する。
そう… あの時出逢った頭は、エオナの母「サリ」だった。
草原に響く<風の楽人> の歌がナユグへの扉を開く…
緻密に揺るぎなく構築された「守り人ワールド」では、
1996年「精霊の守り人」が世に出てから20数年、
13冊目の本作でさえ齟齬なく、
この世界の人々は歴史を紡ぎ続けている。
本作は、断片的に上橋さんの構想にあったものが、
お母様が逝かれたことでイッキに作品になったものだと言う。
だからなのだろう、
その時わからなかった事、気付かなかった事が、
後で理解される…
その時その時が鎮魂なのだろう。
ー弔うー ということは、一様ではない。
それをテーマに、登場人物は逝ってしまった人々の想いを受け取る。
殊に、ジグロの想い…
バルサにはまだ、知らなかったジグロが居て、
新たな彼の想いを発見する。
そして、今、やっと穏やかな日々を得るバルサ。
バルサファンの私はホッとして心が温かくなる。
私の中では絶対にバルサは綾瀬はるかさんではない!のだが、
傍らに寄り添うタンダは、なんだか東出昌大さんの映像が
脳裏をちらちらよぎる。
そんな穏やかなタンダに寄り添って
バルサには、このまま幸せで居てほしいものだ。
…と願いつつ、
新たなバルサの冒険物語がまだまだ読みたいと思ってしまう。(笑)
本好きの“業”だね。
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