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2018年12月16日10:54

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妄想物語

〜 謎 〜

期末テストも終わって あとは終業式を待つだけの12月中旬の
運動部と文化部と帰宅部の人達が居ない放課後のこ教室は
おそろしいほどまったりとした空気が充満していた

「ねえ外堀さん」

『はい!?』

いつの間にか教室にいた しかも僕のすぐ横にいて
そしてたった今その存在に気が付いた外堀さんに訊いた

「冬休みはどっかに行く予定なんかあるの?
初日の出拝みに行ったりとか初詣とか」

『年越しそば食べながら紅白見て‥
終わったらゆく年くる年見て‥
除夜の鐘聴きながら寝るだけ‥っス
家族の毎年恒例行事なので‥

でも‥もう高校生だし‥
年越し初詣から初日の出を拝むまでお出かけもいいかな‥
頑張って両親を説得すれば…』

「なんだ俺ん家と一緒じゃん
こたつでミカン食べまくって 時々うたた寝して汗かいたりしてね
なんかこれぞ大晦日って感じでいいよね」

『そ‥そっスね‥今年もそんな感じ‥っス……』

外堀さんの顔が一瞬にして茹蛸みたく真っ赤になる

「結構 国民的年越しパターンだったりしてね
じゃあ音桶さんは?…あれっ?‥ねえ音桶さんってば」

話しかけて反応がない時 彼女は居眠りしている
起きている時と変わらない姿勢で かつ眼が阿修羅みたく
半開きの様に切れ長で 時々〈わはは‥〉と寝言を言うので
誰が見ても起きている様に見える
そういうところが魅力でもあるんだけど

そんな超まったり空間の中に
いきなり 教壇側入り口の戸が開いて
学校では見かけない女の子が入って来た

『ズドラーストヴィー チェ!』

「えっ!?ズボラですダビンチ?」

『こんにちは‥って意味っス』

顔色がいつもの色白に戻った外堀さんが翻訳してくれた

「へぇー外堀さんって帰国子女?ロシア語ペラペラなんだ…
で君は誰?」

『蝦夷と申します
ロシアから家族で日本に戻ってきて 先ほどこのクラスへの
転校編入手続きをしました
クラスの皆さんにご挨拶しようかと思いまして』

どーりでいきなりロシア語なわけだ…

「ようこそこの組へ でいきなりなんだけど
蝦夷さん なんか音楽みたいのに興味ある?」

今のバンドに欠けているのはドラム
はやちゃんが忙しくてなかなか参加できない状況になっている
補強はいそがなければならない

『ドラムやってます』

おー見た目キーボード でも担当はドラム…
僕の頭の中で妄想が始まる
 
舞台に登場した蝦夷さんがキーボードに向かう
当然観衆はキーボードの演奏を期待する
所が彼女はキーボードの横を通り過ぎて後ろのドラムに向かい
そしてイスに座って髪を後ろにキュッとまとめてスティックを手にする
観衆がどよめく…

「ねえ蝦夷さん 僕達の音楽メンバーに入んない?」

『はい よろこんで』

決まった…
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