釈迦は臨終が近いとき、その風景をみながら
「・・・世の中は美しい」
とつぶやくように言ったそうだが、ふだんからの釈迦の言葉を聞いていると、世の中は苦ばかりであるという、普段の言葉からは真逆の言葉ともとれる。
ただ
この言葉はとても重い。
病に伏せているとき、苦し見ながら見る暮れゆく山々の景色は、誰よりも有言に語りかけてくるときがある。
絶望感に襲われているとき、雪と共に打ち寄せる黒い波のしぶきは、どんな絵画よりも美しく見えるときがある。
例えこの世が一切皆苦であったとしても、その一瞬・一瞬に心が震えるのであれば、この世は生きる価値がある。
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