あの夜の記憶。
背にあたるあたたかさを感じていた。
私が歩いて闇に入った時、
そのあたたかさは線香花火の先端の様に、
ポツッと消えた。
冷えて行く背。
しかし、あのあたたかさは、
確かに「あった」ものだった。
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「例えば、心電図にも波形があります。
そしてその波がもし消えたら・・・・・・そういう事です。
だから、あなたの調子の波というのも、
もしかして生きている証なのかも知れません。
私も、そうですね・・・・・・目覚めて、この世の終わりかと思う朝もあります。
で、あぁ、波だな、と思います。
思う事で、波を少しでもリズムに出来たらな、と」
そのあたたかき地に、かつて仲間たちは集っていた。
そして或る日「地」と思っていた地面が割れ、海に流れ出し、
一人一枚の欠片にどうにか乗り、バラバラに流れて行った。
それから一人、
長い年月、欠片に乗って漂って来た。
そんな或る日・・・・・・水平線からヨットの様に、一枚の欠片が出現し、
それはこちらに近付く様に流れて来た。
懐かしい仲間が一人、欠片の上に乗っていた。
髭はのび白髪が混じり、厳しい顔立ちになっていた。
しかし、交わした視線には一瞬・・・・・・・・・
二枚の欠片は擦れ違う様に流れ、また容赦なく離されて行った。
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