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2018年06月24日05:52

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ミシンの人

心が疲れている人には、ぼくは旅行をすすめます。

旅行って何も観光やグルメだけではない、ただあてどもなくぶらつく旅だってあるんです。

まあ女性には難しいかもしれませんが、日本の歴史のなかで、金もあまりもっていない人達があてどのない旅をしていたなんて例、腐るほどあります。

種田山頭火なんて好例です。
(地元じゃ廃人扱いされてますがw)

人生でどんづまりになっているとき、そんな体力も余裕も無いと思う方が大半だと思いますが、だからこそ旅行にでるんです。

もしそれが難しいなら、落ち着いたあとでかまいません。

ぼくは経験者なんですが、命を救われた経験をしています。

おそらく、人生で行き詰まったときは、短期間であれ、つきあう人間を変える、いつも見る風景を変える、吸う空気を変える、これらが重要なんだと思います。

ぼくは、タイの下町で、一生懸命ミシンを踏んで、日銭を稼いでいる女性に人生のヒントをもらったことがあります。

彼女は障害をもっている子供がいて、いわゆるシングルマザーなのですが、通りにミシン一つをおいて、行き交う人達の着物を繕っているのです。

日本ではこういう職業、見かけたことがありませんが、彼女は雨の日も風の日もそこでガタゴトミシンをふんでいる。

ミシンは日本のブラザーだったかな、自分が祖母の家で見た同じタイプでした。

そんな骨董品で、日々ガタゴトやっている。

ほころびややぶけを治す仕事は決して儲かるわけでは無くて、それどころか一カ所20B(60円)くらいのものなんですけれど、それでも彼女は毎日にこやかにミシンを踏んでいる。

彼女の周囲も笑顔であふれていて、行き交う人が来て、子供用の服を小さくしてくれだとか、ズボンを改良してバッグをつくってくれだとか、そんな人達で一杯。

ぼくは恥ずかしながらそのとき初めて気づいたんです。

「そうだ、自分の得意なこと、好きなことやってりゃ、幸せなんだ。」

こういうことを自分の目で確かめることができたのは、旅に出たからです。

家で釈迦の本や、トルストイなんかの哲学書を読むことも重要なんですが、ほんとうに行き詰まったときは足下を見つめるしか無い、そんでそんなきっかけを作ってくれるのが、家をとりあえず出てみることなんです。

ちなみに、そのミシンの女性は、なんとミシンで一財産築いたらしく、後日日本へその障害をもった子供ともども観光旅行へ訪れました。

神様はどうやらあきらめない人にはチャンスをくれるものらしいです。

旅先では、そんな教訓をくれるような人があふれています。
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