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2018年03月31日00:29

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「乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった・・・2」小説

『乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった・・・2』
<ストーリー>
 ついにゲームスタートとなる魔法学園へ入学し悪役令嬢ことカタリナ。しかし、変人な彼女には悪役は務まらないうえに、本来のゲームの主人公であるマリアとも仲良くなってしまう。そして、そんな彼女を狙う闇の魔法が2人を狙う・・・
<コメント>
 まず、この物語は作品としてとても面白かった。タイトルだけで状況説明を全て語っている通り、女子高生の主人公が事故死した後、ファンタジー世界に転生したらそこは彼女が死ぬ前日までやっていた乙女ゲームと全く同じ世界でしかも彼女はゲームの中で主人公を虐めるライバルの悪役令嬢でゲームエンドには破滅しかないことに気づく・・・という前ふりの中で第一巻では彼女の幼女時代、そして第二巻ではゲームスタートとなる学園生活が描かれるのだが、それに気づいた時点で主人公のカタリナはゲームルートをなんとか変えようと悪戦苦闘するというファンタジー・コメディ。美しいけれども悪役顔で身分は高いけれども魔法能力は低く、成績もそれほどではない。特技は木登りで趣味は野菜畑作りでヘビの玩具を投げる練習に精を出す(何で?)というどうしようもない主人公の悪戦苦闘ぶりが実に楽しい。
 特に第一巻では後に乙女ゲームの攻略対象として登場する影を背負った男性たちを子供の頃から関わってトンチンカンな状況によって彼らの影となる心情を変えてしまい、皆に慕われるようになり、さらに第二巻ではなんと本来のゲーム主人公である白魔法を使う聖女のマリアまで出てくるのだが、食い意地の張った主人公は彼女の作るお菓子に魅かれて何度となく彼女を救ううちになんとマリアまでもが主人公に憧れるようになってしまうといういわばすれ違い、勘違いのドタバタコメディとなっている。
 それでも二巻の後半では白魔法を狙う闇の魔法が主人公を巻き込んで窮地に陥らせるシリアスな展開となるのだが、ここで冒頭の転生ネタが見事に効いて来てかなり感動的なクライマックスとなる。主人公が女性なだけにいわゆる女性向けのラノベとして読み応えのある大笑いして最後に感動できる作品となっている。
 構造的には天真爛漫で元気一杯の少女が様々なそのたゆまぬ(変な)努力と(見当違いの)心遣いによって次々と周りの人間を幸せにしていくという少女小説のパターンであると言ったらいいだろうか。
 で、問題はこの作品があまりに見事に“物語として”第二巻で完結していること。すなわち乙女ゲームとして主人公のマリアが1年間の学園生活の後で誰を攻略するかがエンディングのゲームで悪役令嬢がこれを完全に乗っ取ってしまった(男女を問わず全ての主要キャラクターが皆主人公を好きになってしまう)時点で物語は見事なエンディングとなっているのだ。
 しかし、人気があってのことかその後も5巻まで発売されているのだが、これが話の焼き直し的と言うか新しい登場人物を使って同じ展開をなぞってるようではっきり言ってあまり面白くない。この話は二巻で終われば物語として傑作だと言えるのに、ラノベとして登場人物に読者や作者が愛着をもったためにダラダラと続いているように思えるのだ。
 そういえばスッキリ終われるはずの作品がズルズル巻を重ねていつの間にか中途半端で新刊が出なくなることが時々あるけれども、やはり物語のファンとしては良いところできっちりとオチをつけて終わって欲しいと思うものだ。

乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…: 2 (一迅社文庫アイリス)
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