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2018年03月12日23:26

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『シャンハイムーン』by こまつ座&世田谷パブリックシアター

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3/10(土)@世田谷パブリックシアター
13:30〜15:00(休憩15分)15:15〜16:40

本作は、
1991年の初演で第27回谷崎潤一郎賞受賞して以来、
幾度も各所で上演されてきた作品。

今公演では、
野村萬斎、広末涼子、鷲尾真知子、土屋祐壱、山崎一、辻萬長という
いずれ劣らぬ芝居巧者が、
世田谷パブリックシアター開場20周年の作品として掉尾を飾った。

物語の、時代は昭和9年8月から9月(魯迅、最晩年)上海。
場所は魯迅の友人であった内山夫妻が営む書店の二階。
『阿Q正伝』『狂人日記』などで知られる中国の偉大な文学者・魯迅。
彼は文学革命、思想革命の指導者でもあった。
しかし、弾圧の風吹き荒れる中、ついに魯迅にも
蒋介石の国民党政府より逮捕令が出された。
逃亡を余儀なくされた魯迅(野村萬斎)は妻・広平(広末涼子)と共に
親交のある内山完造(辻萬長)みき(鷲尾真知子)夫妻に匿われたが、
魯迅の体は病気の巣窟となっていた。
しかし魯迅は大の医者嫌い。
一計を案じた内山夫妻の元、
医者の須藤五百三(山崎一)は大の魯迅ファン
歯医者の奥田愛三(土屋祐壱)は肖像画家に
それぞれ、成りすまして魯迅に近づき診察を試みる。
ところが、奥田が使用した笑気ガスがもとで
魯迅は人物誤認症や失語症と奇態な病気を発症してしまう。
そして魯迅を救おうと内山夫妻と日本人医師達は悪戦苦闘を繰り広げる。
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国を憂い、家族を思い、文学に対する情熱を燃やし続けた魯迅が
苦しみの中から見つけ出すものとは?

日本を心底憎みながら日本人を心から愛した魯迅。
これはそんな魯迅とその妻と彼の臨終に立ち会った四人の日本人が
激動の中国を舞台に繰り広げるおかしくも哀しい物語。
日中関係はもちろん、
他国との関係に揺らぐ現代の日本に、
魯迅たちの姿はどう響いたのだろうか?



よく知る井上芝居は歌があり踊りがあったりと、
重い内容も笑わせてしまうところがあるが、
これは、1934年のある1ヶ月間をとらえた
緻密なせりふ劇。
井上ひさし渾身の膨大なせりふたちを
たった6人の役者が操って、
3時間15分という濃密な時間を創り上げる。
もちろん、中に言葉遊びや良質の笑いをちりばめて
決してその時間が長過ぎると感じさせない、
ガッツリ観応えのある芝居だった。

こういう芝居を観ると、
ちょっと前に観た『アンフェアな月』、
あれはナンだったんだろう…?(笑)
と思ってしまう…
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