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2018年03月01日04:54

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死臭の道  記憶 ふたたび 「炎昼の蟻」より その3/4 一兵卒の緬甸鎮魂歌 藤吉淳之


死臭の道  一兵卒の緬甸鎮魂歌  記憶 ふたたび 「炎昼の蟻」より 藤吉淳之



戦場の足が微かに疼きくる冬に入りたる堅土踏めば


不意によせて暗き潮(うしお)の鳴るごとくよみがへりくる兵の日のこと


あけがたの夢にてしきり飯盒の煤(すす)おとしゐき補充兵われは


戦場の屈中の日々なまなまとわが記憶より消し去り難し


戦場よりつづく歳月の遥けきを思へば心にひびく


金魚桶の金魚の朱金が目にいたしわが征ちし日も麦秋のころ



<死臭の道 一兵卒の緬甸鎮魂歌 藤吉淳之 全125頁 117頁より>
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