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2018年02月27日07:42

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『 デトロイト 』


場の帰り、盟友P氏と久々に映画を観た。以前から、FB上の予告編を観て、気になっていた『 デトロイト 』である。キャスリーン・ピグロー監督作品らしく、例によって、劇場数がかなり限られていて、六本木まで車を走らせることとなった。

 物語は1967年、住民の7割が黒人だったデトロイト。未許可で深夜営業する酒場の取り締まりをきっかけに偶発的に発生した大暴動のさ中で実際に起きた事件が描かれる。生活に困窮し、慢性的な不満が溜まっている黒人層に対し、一部の警官たちは彼らを厳しく管理することこそが正義だと信じていた。暴動によって、商店は略奪され、放火で燃え盛る火災現場では消火活動中の消防士が暴行されるという事態に、デトロイト市警、ミシガン州警察に州兵まで動員され、厳戒態勢が敷かれる。そんな時、アルジェ・モーテルに泊まっていた黒人男性が集結する州兵や警官隊に向かって、窓から玩具の銃をふざけて発砲する(もちろん、競技のスターターの空砲で弾丸は出ない)。「 町中に狙撃者がいる 」という噂に過剰に神経質になっていた警官達はアルジェ・モーテルを包囲、建物内に突入するのだったが、彼らの感情はもはや抑えられないところまで高ぶっていた・・・。

 映画は、冒頭の無許可営業の酒場取り締まりシーンから、終盤までほぼずっと緊張感が続く。「 その場に自分がいたら 」「 もし、自分が黒人達の一人だったら 」と想像することができる観客にとっては、非常にツラい状況だ。相手は白人の警官達だが、彼らのゆがんだ正義感、疑いようのない強固な人種差別意識の下では、何が起きても不思議ではないのだ。観客は事件の結末に暗たんとさせられる。

 アルジェ・モーテル事件から50年。今、この映画を製作する意味がどこにあったのか、はなはだ疑問だ。昔も今も、アメリカ社会には「 有色人種に対する根強い偏見 」があり、警察官の違法な暴力を司法が容認しているということを訴えたいのだろうか? 現代の警察や司法関係者がこの事件をどう捉え、同様の事件の発生をいかに防ごうとしているかを描かなければ、単に黒人達に新たな怒りの火種を提供しているだけではないかと思う。キャスリーン・ピグロー監督作品では今のところ、『 ハート・ロッカー 』を超える作品にお目にかからないのは残念だ。

 
◆過去の日記
『 ハート・ロッカー 』
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1467974875&owner_id=6007866
『ハート・ロッカー 再び』
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1721438839&owner_id=6007866
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