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2018年02月06日01:41

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NZミルフォード・トラックを歩く(7);生態系保護に超熱心な国、路上で車にひかれた動物死体を見ても喜ぶとか

 田舎の道路で車にひかれた小動物の死体を見ると、日本人なら「可哀相に」と思うけれど、ニュージーランド人は違う。「ああ、よかった」と思うのだそうだ。

◎生態系保護に世界一の厳しさ
 なにもニュージーランド人がサディスティックなのではない。ニュージーランドには、もともと哺乳動物がいないからだ。ひかれた小動物は、すべて人間が持ち込んだ外来生物なのである。
 ニュージーランド政府は、外来生物から国内の生態系を守るために、たぶん世界一の規制を敷いている。
 食物の類は一切持ち込み禁止だ。登山靴の類も、入国に際して土を除去しておく必要がある。

◎入国の際にスーツケース開けさせられて靴底の検査を受ける
 ミルフォード・トラックに入るのに、成田からオークランド国際空港経由でクイーンズタウンに降りたが(写真=クイーンズタウン空港の入口)、オークランドで国内線に乗り換えるのに、書類に靴を持ち込んでいるかどうか、チェックする項目がある。僕は、持っているの項にチェックを入れると、国内線乗り換え口で列から外され、スーツケースを開けさせられた。
 係官が登山靴を検査するためである。ミルフォード・トラックを歩くに際し、標高1100メートルの峠道を上り下りするため、モン・ベルで登山靴を新規に購入した。足になじませるために10回ほど、自宅近くで履いて歩いたが、出発前に入念に古歯ブラシで土をすべて洗い落としておいた。
 だからスムーズに靴の検査を終了した。泥が付いていれば、外来植物の種子が含まれている可能性があるから、落とすように指示される。

◎ミルフォード・トラック上陸にも靴底を洗う
 ミルフォード・トラックに入る際も、同じだった。テ・アナウ・ダウンズから船に乗り、グレイド・ワーフに上陸すると、桟橋にカナダライのような物が置かれていて、そこで靴底を洗ってから初めてミルフォード・トラックの土を踏むようになっている(写真)。
 4日付日記「NZミルフォード・トラックを歩く(5);進化の軍拡競争、ランスウッドという木の葉の『変態』」で述べたが、ミルフォード・トラック内のあちこちに箱形のトラップが仕掛けられているが、これは外来動物である有袋類のポッサムと有胎盤類のネズミを捕獲駆除するためである。
 この2種は、自らの天敵がいないだけに、ニュージーランドに侵入すると爆発的に増え、ニュージーランド固有種の飛べない鳥を捕獲するか卵を襲った。

◎毛皮を採るためにオーストラリアから移入したポッサムも駆除
 ポッサムは、19世紀に毛皮を採るためにオーストラリアから持ち込まれた。ところが天敵と競合者のいないニュージーランドで、一時は推定数億匹にまで増えすぎたのだ。
 それを退治するためにイタチを導入したが、今度はイタチが増えた。イタチの駆除にも追われることになった。これが本当の「いたちごっこ」である。
 ポッサムは、見て愛らしく、毛は高級な織物になる(写真)。それでも、野生化したポッサムは、ニュージーランドでは独自の生態系の敵なのである。
 今では野生化した哺乳類はすべて駆除の対象だから、車にひかれているとニュージーランド人は喜ぶのだ。

◎各所にアカシカ牧場も
 クイーンズタウンからミルフォード・トラックの玄関口に当たるテ・アナウ湖に向かう約4時間のバスの旅の間、僕は3カ所ほどのアカシカの牧場を見た(写真=車中から撮影)。
 アカシカも、狩猟の対象としてかつてヨーロッパから持ち込まれ、ニュージーランドで増えすぎて生態系を攪乱させた。
 しかし鹿肉は、赤身でヘルシーということで、ニュージーランドでは「ベニソン」という名で人気がある。そこで、政府は柵に囲い込んだ上での放牧という形でのみアカシカの生存を認めたのである。ただしアカシカに飛び越えられないように、柵の高さは2メートル以上と決められているそうだ。

注 容量制限にタッチしているため、読者の皆様方にまことに申し訳ありませんが、本日記に写真を掲載できません。
 写真をご覧になりたい方は、お手数ですが、https://plaza.rakuten.co.jp/libpubli2/diary/201802060000/をクリックし、楽天ブログに飛んでいただければ、写真を見ることができます。

昨年の今日の日記:「さて遅れてアメリカ上院で多数の反対票も出て承認された新国務長官のレックス・ティラーソン氏は……」

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