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2017年11月03日23:51

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妄想物語

〜酔っ払い娘〜

妄想喫茶の最寄り駅で、リクルート姿の変な子を見か
けた。
夜の9時過ぎともなると、会社を退出して帰りにちょ
っと一杯組が上機嫌な顔して改札口を目指して賑わっ
ていてお祭りムード満載。
そんなおじさん達の流れと逆らうようにその子は僕の
前をひとり上機嫌で軽やかに歩いている。
後ろからその子の表情はうかがえなかったけど、体全
体から音符が発散されているのが見え(た様な気がし)
たので、おそらく酔っぱらっているのだろう。
妄想喫茶に向かうという目的のはっきりした僕の歩行
速度と軽やかだけども無駄な蛇行が多いその子の歩行
速度はには明らかに差があり、僕はその子の真後ろま
であっという間に距離を詰めていた。
こういう怪しい女性を追い越すには、俯いて決して目
を合わせないという何だか都市伝説のお化け対策みた
いな感じがいいと、その子の傍らをくわばらくわばら
と通り追い越した。

よしこれであとは妄想喫茶にまっしぐらと安堵する僕
の右肩に、とんとんと軽くたたかれる圧を感じ、顔だ
けをぐるりと右側後方に90度振り向かせたが誰もい
ない。
変なのと思いながらも気のせいと、今度は顔を左90
度に向けかけた時、左のほほに棒状の圧を感じた。

『おっとつっかえ棒ぉ〜♪きゃははは、ひーかかった
ひっかかったぁ〜♪』

目の前には、いつの間にかその子が立っていて、屈託
のない酔っ払い笑顔をみせていた。
ていうか、はやちゃんだった。

『お・じ・さ・ん♪久っさしぶりぃ〜♪』

「そう言うテンションのお・じ・さ・んはよせ」

周囲の上機嫌の酔っ払いおじさん軍団が一斉に僕に向
かって嘲笑の目線が集まって来たので小声でそう言っ
た。

『じゃあパパぁ〜♪一緒に歩きましょ♪』

そう言いながらはやちゃんは僕の左側に素早く回り込
むや否や、腕をさっと組んで寄りかかって来た。

「余計勘違いされるだろっ!」

『え〜!?何と勘違いされんのぉー?あっ!わかった
ぁ〜イヤラしいーJなんとかビジネスってやつでしょ。
もうしょうがないなぁー喫茶店までだよぉ〜』

酔っ払いおじさん軍団の冷ややか目線が、仁王立ちす
る弁慶に刺さる無数の矢の如く、僕に刺さった…
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