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2017年11月01日02:02

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誇りを支えたもの

 今日から11月ですが、皮肉なことに今月は品質月間なのだそうです。
 このところ、神戸製鋼、日産、SUBARU(スバル)と、日本の名だたる企業の品質やその検査に問題があることを伝えるニュースが相次いでいることは皆さんもご存知でしょう。今月も同様の問題を抱える企業が現れるかもしれません。
 で、毎度のごとく企業コンプライアンス云々(うんぬん←“でんでん”じゃないです)の話になります。
 確かに、企業コンプライアンスの問題といえばそうです。でも、企業コンプライアンスの問題さえクリアーできれば、この問題は解決できるのかというと、そうでもないだろうという気もします。もっと問題の根は深いと感じるからです。
 個々の問題企業の具体的内部事情を知っているわけではないので、断定はできないのですが、ただ、ニュース等で伝えられているところから判断するかぎり、物づくりをするメーカーのはずなのに、そこには物づくりをする誇りのようなものが感じられません。ばれなきゃいいとか、大事故に繋がらなけりゃいいとかの意識しか感じられません。誇りをもって物づくりに励む人たちなら絶対に犯さないであろうと考えられる不祥事ばかりなのです。
 多分、根本的な問題は、ここらへんにあるような気がします。

 一般的には、お金をかければ、その分いい物ができます。でも、厳しい国際競争に晒されて、通常の企業は、物づくりにそんなにお金はかけられないし、むしろコストダウンを日々迫られているのが実情といえるでしょう。
 これは程度の差こそあれ、昔からあったことではあるのですが、このところはとくに人件費の削減が目立ちますね。非正規社員、とくに派遣社員の増加は、その現れでしょう。
 でも、派遣社員の場合は、正規社員と同様に、派遣先企業において勤務するものの、直接の雇用関係は派遣元である派遣会社との間に生じますから、極端な話、派遣先企業の経営がどんなに不正であろうとも、自らに害が及ばないかぎり、どうでもよくなります。派遣先企業の正社員から、こうだと言われれば、そんなものかと思って従うだけでしょう。
 こうした社員が増えると(その分、正社員の数が減ると)、データ改竄等の不正はやりやすくなるような気がします。正社員であれば、不正に気付けば、これが原因で会社が信用を失い倒産したりすると、たちまち収入源がなくなるので、これを防ぐべく活動するでしょうが、派遣社員の場合は、そこまでのことはしないと考えられます。
 もとより、正社員の方で、企業コンプライアンスの意識が高いところであれば、そうした問題は生じにくいのかもしれませんが、私は、この日本人の企業コンプライアンスの意識というものは、あまり信用していません。法とかルールを守ることよりも、“みんなと同じ”ということの方が大半の日本人にとっては大事なのであろうと感じるからです(だから、“赤信号、みんなで渡れば怖くない”ということにもなるのです)。
 ただ、こうした日本人のメンタリティは、同じになるためにみんなが真似をするいわばお手本が優れていれば、ときに絶大な威力を発揮します。多分、高度成長期には、そうした優れたお手本がいっぱいあったのです。物づくりの世界でも、本田宗一郎さん等のように、誇りをもって物づくりに励む経営者がたくさんいたのではないかと思います。
 どうして、彼らはそうした誇りを持つことができたのか。
 多分、それは彼らが物づくりの現場に非常に近い所にいたからではないかと思います。
 現場感覚というのでしょうか、物づくりにおいて、何が大切であるのか、どういう点に気をつけなければならないのか等々のことを細部に至るまで骨身に沁みて理解することは、物づくりの現場にいなければ、とてもできることではありません。現場にへばりついていたとさえ云われる彼らは、そうした現場感覚を掴んでいたからこそ、自信を持てたと考えられます。そして、彼らは、そうした現場感覚で掴んだものは、けっして譲ろうとしなかったことでしょう。もし、譲歩すれば、自分の作る物の価値を下げ、自分が長年にわたる努力でやっと掴んだものが水の泡となってしまうばかりか、自分の顔に泥を塗ることにもなるからです。
 現在、問題になっている数々の事案は、こうした現場感覚を失い、ただただコストダウンに目が眩んだお粗末な措置に見えてしょうがありません。
 資格をもった検査員しかタッチできない仕組みを作るといった対策が考えられているようですが、その程度の小手先の対策では、いずれまた別の形で問題が生じることでしょう。企業のトップが、現場にへばりついて、現場感覚を培い、真の意味での誇りを回復させなければ、問題の根本的解決は不可能ではないかと思います。
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