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2017年09月20日21:47

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『天下を治めた絵師・狩野元信』に行って来た。

夜勤明けの半休を利用して、けふもミュージアム。

サントリー美術館「六本木開館10周年記念展 天下を治めた絵師・狩野元信」
【展覧会HP】http://www.suntory.co.jp/sma/exhibition/2017_5/
フォト
室町時代後期〜江戸末期まで、約400年の長きに亘って「日本画壇(?)」のトップに君臨し続けた絵師集団・狩野派。その根幹を築いたのが、本展の主人公・狩野元信(1477?〜1559)だ。

彼は狩野派の二代目だが、初代・正信(元信にとってはお父さん)の時代はまだまだ傍流に過ぎなかった狩野派を、日本最大の画派へと引き上げ、「画体」を発明するなどのシステム化を図って、その地位を揺るぎないものにした。
狩野派といえば、昨今注目されるのは、元信の孫にあたる永徳や、その永徳のさらに孫になる探幽であることが多いが、「狩野派」という絵師集団を語るのに、実はいちばん重要なキーパーソンは、元信なのである。
にも拘わらず、元信を単独でフィーチャーした展覧会は、何と、本展が本邦初というのだから驚き( ゚Д゚)!
元信の真筆がこれほどひとところに揃うのはまたとない機会ということで、早速伺ってみたm(__)m

超ビッグ・ネームの割に、現存する「確実な真筆」の数は、それほど多くなく、なので会場全体を元信の作品で埋め尽くすというわけにはいかなかったようで、初期の狩野派(元信自身も)がお手本とした中国絵画や、元信の印章だけ捺されてる「伝元信」扱いの作品、さらに周辺関係作品など、いろいろ加えた構成となってはいたが、狩野派の歴史を知る上では参考になる作品ばかりで、それはそれで楽しめた。

狩野派の絵、特に花鳥画や山水画は、こっちが意識しないうちにいつの間にか見慣れちゃってる「お決まりの」「王道的な」「オーソドックスな」ものが多く、何だか「落ち着いて見れる」感じ。
日本人で、しかも日本画が好きな者であれば、体の芯まで知らず知らずのうちに沁みこんでる「根源的な絵画」といおうか?

しかし、元信の「いちばん凄いトコロ」と思ったのは、絵師としての腕よりも、プロデューサーとして、絵師集団のトップ「棟梁」としての能力だ♪
それまで中国絵画の手本に倣って描き分けてた「筆様(ひつよう)」を、「真」「行」「草」の三種の「画体」に分けてマニュアル化し、集団での作画活動を可能にしたこと。父・正信の時代には漢画に限られていた狩野派の制作ジャンルを、やまと絵、仏画などの宗教画、裕福な町人を相手にした風俗画など、多ジャンルに展開していったこと。などなど、プロデュース力が半端ない。
画体のマニュアル化なんかについて言えば、功罪の両面があるとは思うが、しかしそのことが狩野派400年の安泰を確定づけたことは間違いないわけで。

絵画作品そのものの素晴らしさを堪能しながらも、狩野派の歴史、トップへ浮上する過程のことなどにも思いを馳せ、存分に楽しめる内容だったと思うわけm(__)m
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