ピーター・トライアス ハヤカワSF
第二次大戦に日本(とドイツ)が勝って米国の西海岸が日本合衆国となった世界で、アメリカが勝つというシミュレーションゲームが蔓延、ゲーム検閲官の大尉と特高警察がその撲滅を図るというお話。作者は映画制作からこの世界に入っただけあって文章から伝わるビジュアルの引きが強い。強いのだが映画では見たくない。映画になると巨大メカのシーンばかりが注目されるだろうが、原作に従えばそんなシーンはごくわずかだ。怪獣映画へのリスペクトは伝わったけれどB級作品の残念な部分も余さず継承したパシフィック・リムの焼き直しは見たくない。またストーリーには凄惨な描写が多く、それを避けて映像化したものはもはや別のものだ。
作者は日本のサブカルチャーに大きく影響されているそうだ。ゲームと、電卓(現代のスマホみたいなもの)と、巨大メカ。でもエンディングにはぐっときた。読み応えのあるディストピア小説。高い城の男を継いでいるかと言われると、何か違う。ディックを読み直そう。
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